【小説】ゴミのような、二個目の僕らの世界。【本編】

79_進道榛【世界を消したい】 ページ35

今日来たのは比較的よく来る奴だ。名前は知らん。
其奴は各部屋を見て回るとのことだ。それまで自由行動っつってもな……なんもすることがない。
……ぬいぐるみでも作るか。


榛『あ〜っと……布と綿、あと裁縫道具……』


無駄に手先がいい為、時々こうしてぬいぐるみや人形を作るのだ。
作ったものは大抵琥鈴やセツナあたりに渡している。
今日は……犬よりの狼でも作るか。


榛『……取り敢えずしつけ縫いだけ済ませるか。』


自由行動も長くは続かないだろうし、早く済ませれるものだけやろう。
……というか、各部屋を見て回るとか言っていたが、俺の部屋にも来るのだろうか。
怠いなぁ……１対１で話すのあんま好きじゃないんだけど。


榛『……あれ、まち針どこいった？』


普通の針と一緒にしまっておいたはずだが……
誰かに貸してたか？……まぁ、いいか。なくても出来るし。
そんな感じで適当に縫っていると、扉をノックされる。


榛『…どうぞ。』

霞「【世界を消したい】の部屋か。改めて聞くぞ。リビングの備品を壊したのはお前か？」

榛『違う。そもそも彼処で聞いた時に初めて知った。』

霞「…ほんとだな？」

榛『本当。』


そう答えると、監視員は部屋を見渡した後「失礼する」と言ってから、他の部屋に行った。
…はぁ、疲れた。あの感じだと他の奴にも聞いてるんだろうな。
そんなに備品に金がかかるのだろうか。それとも別に不都合でもあるのだろうか。

……なんか腹減ってきたな。
なんか作ってくるか。料理とかすごい面倒だけど。


榛『……まだ大丈夫そうか。』


まだそこまで悪い状況じゃない。
今のところは監視員も何もしてこないし、そこまで警戒はしなくていいだろう。
次に来た奴が、今日の奴じゃない場合からが本番だろう。

嫌な空気は今のところない。
内通者についても丸く収まったし、取り敢えず子供等に不安を与えないように気をつけないといけない。
一体何が目的なのやら……


＊＊＊＊＊＊＊＊


久しぶりの更新です。
こんな感じで大丈夫だったかしら……

80_宮崎零 【世界を救いたい】→←78_宮崎零【世界を救いたい】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す