この音響かせ!! 【なにわ男子】 (ページ38)

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#33 さよならと恋心ページ38

丈一郎side

月海、もしかして律太先輩のことが好きなんか？
目が輝いているし、とても楽しそうなんや。
最近は俺と話すと悲しそうな顔をするし。
俺はふとカレンダーを見る。
丈一郎「はぁ、あと二週間か……。」
俺が月海と一緒にいられる日数。
限られた時間の中で、凄く楽しくて……。
最初は自分でもロケでも行ったことない、‘垢街町’というところに行って言われて。
多分一回り年下の人達に触ったこともない楽器教えてもらい言うたって。
しかも重いtubaだって。
いや、舞台決まったのは嬉しかったんよ？
でも役の都合上、tubaだったんよ。
事前に月海がどんな子かは聞いていた。

和也「どなしたん？心配事あるんか？」
丈一郎「いや、なんでもあらへんわ。」

大橋にも心配かけたくないんよ。

和也「最近丈くんおかしいで？ぼーっとしとるし。なんかあったら言ってな？」

はぁ、バレとらんといいけど……。
月海と離れたくないんよ。
どう抗っても月日が流れていくのは仕方のないことで。

俺にはこの気持ちも、時間の流れもどうすることも出来ないんや。

＊

大吾「すみません。ちょっといいですか？」
月海は大吾に呼ばれて行ってしまった。
月海「はい。何ですか？」
大吾「ここのソロなんやけど……。」
大吾は月海にtrumpetの楽譜を見せ、
大吾「岶緒さんってアンコンでソロ吹いたんですよね？」
辿々しい大吾の標準語。
聞いたことがある。
月海は初めてのアンコンでソロを吹いたと。
でも失敗して、審査員の講評用紙にソロについて、tubaについて書かれて。
おまけに最下位で。
これも「落ちた垢街」と呼ばれている理由の一つだ、と月海が言っていた。
月海「はい……でも失敗したんで。ソロ。もういいですか。ごめんなさい、本当に。もうソロの話、したくないです。」

よっぽどまだ気にしていているのが分かる。
普通メンバーにこんな気持ちを抱くことはないのに。

なんか月海が他の人と話してんの見ると、ムカムカしてくるんやわ。