もう一つの物語【終わりのセラフ】【一瀬グレン、16歳の破滅】 (ページ1)

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姉ページ1

「帝ノ月」それはかつて日本の上位に立っていた柊家が運営する呪術組織「帝ノ鬼」と対立するほどの力がある一瀬家が運営する呪術組織。

だがそれは一瞬にして崩された。

その瞬間から帝ノ月はクズ、ネズミ、底辺などと何百年も言われてきた。

だがなぜ今だに存在する？なぜ、「帝ノ鬼」は潰しに来ない？

簡単だ。家畜同然と見ているからだ。

脅威になりそうならばすぐに潰しに来るだろう。

だが我々人間は豚などの家畜を脅威として見ているか？

否、舐めきっている。だから滅ぼさない。逆に我々は必要としている。

それと同じだ。柊家の引き立て役として必要とされている。

全く不思議な話だ。でも代々そうしてきた。それに私は来年入学してくる弟のためにもクズとして目立たなければならない。

姉としてそれくらいはさせて欲しい。

私は斜め後ろにいる従者の鳴海(なるみ)和人(かずと)に向かって言った。

「さぁ和人、これから屈辱と退屈の日々が始まるよ。ごめんね、付き合わしちゃって。」

それに対して和人はふっと柔く笑い、こう言った。

「全くです。でも私はA様に絶対忠誠を誓いました。今更の話ですよ。」

その言葉に少し呆れながらも綺麗な桜に囲まれた道を第一渋谷高校に向かって進めた。