第9話 ページ9
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今日はお気に入りの定食屋でご飯を食べようと暖簾をくぐる。
「あれ、宇髄さん」
「お、なんだお前も来たのか」
「お隣失礼しますね」
なんだか図体がでかい派手な奴がいると思ったら宇髄さんだった。
返事も聞かずに隣に腰掛ける。
一息ついて出されたお茶に口をつける。
「そういや、お前煉獄とはどうなんだ?」
いきなりそんな事を聞かれて口に含んでいたお茶を吹き出してしまった。
「い、いきなり何!? どうとは!?」
「なんか煉獄のやつがいつもより元気だからよ、何かあったんじゃねぇかと思ってな」
「えー…そんな事言われてもなあ…」
最近杏寿郎とは会えていないからどんな様子かは分からないけど、そんなに元気なのだろうか。
いつも元気ハツラツな人が余計に元気になっているのか。
しかしそんな事を聞かれても悲しい事に特に何も無い。
「最近、名前で呼び合ってるくらいしか…」
「なんだよ、地味だな!」
「仕方ないでしょ!」
目の前に運ばれてきた天ぷら定食に箸をつける。
あ、さつまいもの天ぷらがある。
「もっとなんか進展があったのかと思ったんだけどな…もっと派手にいけよ!」
「いやいや、あんまり揶揄うなって言ったの宇髄さんでしょ」
「それにしても煉獄が奥手過ぎんだろ」
確かにそう言われればそうだけど。
杏寿郎は私の事をたくさん甘やかしてくれるし優しいし、大好きなんだけど、欲を言えばもっと私を求めて欲しいなんて思ってしまう。
というか、ふと思った事がある。
「ねえ、杏寿郎ってさ、私の事を好きな自覚あるのかな?」
「無いかもな」
即答された。
剣の道一筋で過ごしてきて最も柱らしい生き方をしている人だ。
もしかしたら、恋愛というものに疎いのかもしれない。
好きな人を手に入れたい、という欲は果たしてあるのだろうか。
「でもさ、私の言葉とか行動で照れたり喜んだりするよ?」
「それを恋だと分かってない可能性だってあるだろ」
「そっか〜…」
肩を落とすと、宇髄さんは私の頭を撫でてくれて、「俺からそれとなく聞いてみてやるよ」なんて言ってくれる。
私も今度機会があったら聞いてみよう。
宇髄さんは先に店を出ていったので、私も残りを食べてご馳走様と手を合わせて店を出た。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時