第5話 ページ5
*
煉獄には女の子の気持ちなんて一生わからないだろうと思っていた。でもそんなことはなくて、むしろそれ以上の言葉をくれた。
「そ、そんなの、反則でしょおぉぉ〜〜!!」
「なんの事だ?」
「この女垂らし〜〜!!」
うわああ、と声を上げながら煉獄の胸目掛けて何度も拳を打つが全て届かず、大きな手のひらに打つことになる。
相変わらずこの男は訳もわかってなさそうだが声を上げて笑っているし、本当に急に嬉しい事を言うもんだから反則ものだろう。
暫く攻撃を続けていたが全く効いていないので、手を止める。
元々任務で疲労困憊なのに余計疲れた気がして、もうこうなったらヤケだと煉獄に手を伸ばす。
「おんぶして」
ん?と首を傾げる煉獄に構わずに言葉を続ける。
「もう疲れて歩けないの。私の屋敷まで送ってくれる?」
相当な我が儘を言っていると思う。でも疲れた身体をさらに疲れさせた原因は煉獄にもあると思うんだ!!
そして優しいから、きっとこんな我が儘も聞いてくれる。
「いいだろう!俺の背中に乗るといい!」
「わあい!煉獄大好き〜!」
「ぐぅっ…!」
しゃがんで背中をこちらに向けるその動きが止まって変な声がしたが、気にせずに広くてがっしりとした背中に乗る。
そしてまるで人なんて背負っていないかのように立ち上がって、軽い足取りで歩き出す。
歩く度にふわふわと揺れる髪がくすぐったいけど、その度にいい匂いがする気がして、首元に顔を埋めて静かに深呼吸する。
「いい匂いだね」
「…あまり嗅がないで欲しい!俺も任務終わりなのでな!」
そういう煉獄の耳は赤くなっていた。
そうだった、煉獄も任務終わりなんだった。しかもこの時間までいるということはかなり疲れているはず。
それなのに文句も言わずに汚れまみれの私をおぶって。
炎柱に代々伝わるという大切な羽織が汚れてしまうというのに。
煉獄の優しさと温もりを感じ、段々と目蓋が落ちてくる。
気付けばそのまま私は意識を失っていた。
その後は私の屋敷に着いたであろう煉獄の「着いたぞ!!起きるといい!!!」というクソデカボイスで目が覚めるのであった。
209人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時