第40話 ページ40
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しのぶちゃんの問いに固まってしまった杏寿郎の目の前で手を振ると、ぼっと音がしそうなほど一気に顔が真っ赤になった。
「だ、大丈夫?」
「…すまない、大丈夫だ!それでなんだろうか!」
「ですから、想いは告げないのですか?」
「………ない!!」
我に返った杏寿郎はもう一度同じ問いかけをされて、たっぷりの間を開けて答えた。
ない、想いは告げない、と。
その答えに今度は私が固まってしまった。
「まあ、それはまた何故ですか?好きならば想いは告げたいと思わないんですか?」
「そうですよ!らぶらぶできるんですよ!?」
「そうだとしても…」
眉間に皺を寄せ、静かな声が聞こえる。
華やかな店内の中でもその静かな声はよく聞こえた。
「この気持ちを伝えたとして、相手も同じだとは限らないだろう。今の関係が壊れてしまうのならば、このままで良い!」
そこまで言って口を閉じてしまった杏寿郎に、私達はぽかんとするしか無かった。
本当に私の気持ち少しも分かってないのか。
この鈍感男め!なんて思っていたら、微かに杏寿郎が何か言おうと口を開こうとした気がして、そちらに集中する。
それでも杏寿郎は続ける気は無かったみたいで、眉を下げた少し情けない顔のまま、微笑んだ。
「はあ、煉獄さんは本当に鬼を狩る時はお強いのにそういう所は弱いんですねえ…」
「煉獄さん!もっとガツンといくべきです!ぐいぐいいくべきです!!」
「情けないですねえ」
「うむ!不甲斐なし!」
その後勢いよく団子を平らげたと思ったら、そのまま立ち上がった。
「なんだか色々と話しすぎてしまったが、俺は今度こそ退席するとしよう!邪魔したな!あとはゆっくり女子会とやらを楽しんでくれ!」
店の暖簾を潜る後ろ姿を見て、私は思わず立ち上がっていた。
「ごめん!私行ってくる!」
自分の分のお金を机に置いて、急いで店を出る。
後ろからは「行ってらっしゃい」と2人の優しい声が聞こえてきた。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時