第30話 ページ30
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宇髄さんが急に訪ねてきて何用かと思ったら、血鬼術で小さくなってしまった杏寿郎を見に来ただけだと帰っていってしまった。
折角お茶入れたのに!とヤケになって熱々のお茶全部飲み干してやった。
たまに笑い声が聞こえてきていたから、杏寿郎と何か話しをしていたみたいだけど内容までは全く聞こえてこなかった。
「………」
そして、宇髄さんが帰った後から急に杏寿郎が私の事を見続けてくるようになった。
「なに?」
「なんでもないぞ!」
何か用かと聞いてみるも毎度なんでもないと言われる。
いや、絶対何かあるでしょ!と思うけど何も言われないからわからない。
いやしかし、あのガン開きの目で見られ続けると例え好きな人だとしても流石に居心地が悪い。
「あんまり見ないで貰えます?」
「善処する!」
しかし何も変わらない。善処とは?
今の状況だとあまり見ないって事ではないんですかね。
「うむ!わからん!」
「え、なにが?私もわかんない」
「いや、こちらの話だ」
それでも見てくるから、負けるもんかなんて変に意気込んで私も杏寿郎を見つめ続けてやる。
暫く睨めっこしているかのようにお互い視線を外す事はなかった。
「ふふ、」
なんだか段々と可笑しくなってきて、思わず笑ってしまう。
勝負だとこれ私の負けね!
「…!」
すると杏寿郎はふい、と顔を背けた。
今まで逸らすこと無かった目が逸れて、こちらに向いた頬を優しくつつく。
「…やめないか、擽ったいぞ」
そう言う杏寿郎は少し照れているようだけど、何度もつつく私をそれ以上咎めようとはして来なかった。
「それで、杏寿郎さんはなんで私を見てたのかな」
両手の人差し指を両頬に添えて、優しくこちらを向かせようとするが、小さいくせに力があるようで中々こちらを向かない。
「なんでもないと言っているだろう!」
「なんでもないのに見ないでしょ」
「見たかった!それだけだ!」
それ以上は黙秘を貫くらしく何も答えなくなってしまった。指を離すと、先程までこちらを向かなかった顔がぐりんと勢いよく私の方を向いた。
「この話はこれで終わりだな!!」
「はいはい」
私は納得出来てないけど、頬に丸く指の形がついてしまっている杏寿郎の顔を見て、お多福みたいで可愛くてもうどうでも良くなってしまった。
「君は俺の事をどう思っているんだ…?」
杏寿郎らしからぬ声で呟かれたそれは私には届かなかった。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時