第26話 ページ26
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腹が痛んで、その隙に血鬼術を喰らってしまったと言う。
杏寿郎は不甲斐ない…と少ししょげているみたいだった。
私はというと、心臓が痛かった。
「昨日気付いたら縁側で寝てしまっていてな、その時から痛むのだ」
「あら〜」
「ソウデスカ」
お腹失礼しますねとしのぶちゃんはミニ杏寿郎の隊服を捲る。
あらら、私が蹴ったところが酷く痣になってる。
「鍛えてる煉獄さんの腹部がこれほど…よほど強い衝撃を受けたんでしょうねぇ」
「デショウネ」
やばい、これは私がやったと気付かれている。しのぶちゃんがこちらをじっと見て微笑んでいる。優しい微笑みではなく、確実に裏がある冷ややかな微笑みだ。
ぱん、と手を叩いたしのぶちゃんは微笑んだままこちらに向けて口を開いた。
「では、責任を取って貰いましょう!ねえ、Aさん?」
「ハイッ!ん、私ですか?」
「貴方以外に誰がいるんでしょう?ぜひ教えてください」
「ハヒッ」
最早頷く事しか出来なかった。杏寿郎はよく分かっていないのか首を傾げている。可愛い。
「小さい煉獄さんでは任務どころか生活することも困難でしょう。面倒見てあげてくださいね」
「良くわからんがよろしく頼む!」
取り敢えず、ミニ杏寿郎を肩に乗せて自分の屋敷に戻る事にした。
「これはいいな!はっはっは!」
「ちょ、耳元でその声量やめて!」
「すまん!!」
「肩に乗せたの失敗だったわー!!」
さて、と屋敷に戻った私は、正座して手のひらに杏寿郎を乗せる。
「隊服のままじゃ流石に辛いよね」
「うむ。出来れば着替えたいとこだが…」
なんせミニ杏寿郎に合う物が何一つない。
とりあえず手拭いにいい感じに穴を開けて簡易的に浴衣みたいなものを用意する。
「これはいいな!楽だ!」
「あんまり動くと肌蹴るから大人しくしててね?」
「善処する!!」
本当に簡単に作った物なので、少し不安だけど、杏寿郎は気に入ったみたいだった。
このまま湯浴みでもするかと、桶にお湯を張って用意してあげる。
「これなら溺れないでしょ?」
「うむ!有難い!」
なんだかまるで子供の世話をしているような…いや、動物の世話をしているみたいで少し楽しくなってきた。私のせいなんだけど!
今の間にご飯の用意しようと、たまにしか使わない厨に立った。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時