第3話 ページ3
*
蕎麦屋を後にして、町中に出る。
「わっ、」
昼過ぎの町中の人混みに流されそうになって少しよろけてしまう。
「星来、大丈夫か!」
ふと手首に熱を感じると思ったら、よろけた私を煉獄が咄嗟に掴んでくれていた。
「人が多くなった。はぐれるとまずいので、…手を掴んでいてもよいだろうか!」
手を掴む…?そこは手を繋ぐではなくて?
顔を見ると、またもや照れている様子だった。
仕方ないな、なんて思いながら煉獄の手を握る。
「手首を掴まれたままだと歩きづらいので、掴むのは手のひらにしていただいてもいいですか?」
「っ!あ、ああ!そうしよう!!」
私よりも随分と大きな手を握る力を少し強めると、優しく握り返される。
きっとそこらの女性よりもかさついていて、ごつごつの手だけど、煉獄の手も沢山努力してきた手をしていて、固くごつごつしている。
私達はお互いの手のひらの凹凸を埋めるかのように手を握り合った。
「…人混み、なくなってきたね」
「そうだな」
暫く歩くと先ほどまでとは打って変わって、辺りは静かになって人通りも少なくなった。
それでもお互い手を離そうとはしない。
「星来はこのまま屋敷に戻るのか?」
「そうだね、任務まで少し休もうかなって…煉獄は?」
「俺も同じだな!」
「そっか〜」
歩みを止めた煉獄は振り返り、半歩後ろを歩いていた私を見たと思ったら、顔は正面、つまり私の少し上を見ている。
もちろんその視線の先には何もない。
「このまま君の屋敷まで送りたいと思っているんだが、大丈夫だろうか!」
「え?」
「いや…同じ柱として、互いの屋敷の場所は知っておいた方が何かと都合がいいだろう!!」
きっとそれは嘘だ。ただもう少し私と居たいんだと、合わない目線が物語っている。でも、私ももう少し煉獄と居たい。
「もちろん!お願いしてもいいかな?」
「ああ!俺に任せろ!」
「ふふっ。今度は煉獄のお屋敷にお邪魔させてね」
「む!?嫁入り前の女性がそんな簡単に言うんじゃない!」
「ええ、何それ!」
そのまま私達は手を繋いだまま、暫く話をしながら私の、鳴柱邸までの道のりを楽しんだ。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時