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第17話 ページ17





「これなら邪魔にならないだろう」



杏寿郎は私の髪を結っている組紐を撫でながら、微笑む。



「私の独り言聞こえてた?」

「ああ!俺がすぐ近くに居たのに気付いていなかったのか?」

「ごめん、途中凄く集中しちゃってた…」



杏寿郎の事を思いながら見ていた時は口に出ていなかったかな。少し不安になったけど、その事は特に突っ込まれなかったので大丈夫だろう。



「いや、集中するのはいい事だ!だが、俺の事ももう少し見てくれると嬉しいな!」



するりと長椅子に置いていた手に杏寿郎の指が絡む。
私よりも大きくて太い指が、つつ、と手の甲を滑る。



「っ、」

「ん?」



その指は手の平にまで伸びてきて、すりすり撫でられると擽ったくて手を引こうとするが、杏寿郎の手がそれを許してくれなかった。



「顔が真っ赤になってしまったなぁ」

「ちょ、え!? 誰のせいだと…!」

「俺か!ははは!」



優しく触れてくる手からは想像できないくらい溌剌と笑っている。この男中々やりおる!



「もう、本当に…」

「なんだ!」

「なんでもないです!」



頬を膨らませて分かりやすく拗ねてみせると、頭に温もりを感じた。
そろりと杏寿郎を見ると、先程までの大きく開いた目と口はなくて、緩やかに上がっている口角と溶けたような目が目に入る。


ああもう!そんな顔で頭を撫でないで!



「よしよし!」

「ちょっと、私子どもじゃないんだから」

「すまん!Aが可愛くてつい撫でてしまった!拗ねないでくれ!」



可愛いなんて言われて思わず頬が緩む。そんな顔を隠すかのように勢いよく立ち上がり、座ったままの杏寿郎の頭を抱きしめてやった。



「む!?」

「よしよーし、杏寿郎良い子良い子〜」



先程の仕返しと言わんばかりに抱き締めている頭を撫でる。
いきなりの事で驚いたのか杏寿郎は固まっていた。


暫くしてゆっくりと離れ、してやったりと笑う。
目を大きく見開いて半開きになっている口のまま動かない杏寿郎だったが、一気に顔が赤くなる。



「どうだった?よしよしされて」

「〜〜っ、A!」

「わあ、そんな睨まないでよ!」



余程子供扱いされて恥ずかしかったのか睨んでくる杏寿郎だったが、赤い顔で睨まれてもちっとも怖くなかった。



「……だが、悪い気はしなかった」



ふい、と視線を逸らしたと思ったらその言葉だ。
腕を組んで赤い顔を背ける杏寿郎の姿に、むふふと笑った。

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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時

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