第16話 ページ16
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甘味処を逃げるように後にして町を歩いていたら、ある小間物屋が目に入った。
「杏寿郎!あそこ寄ろう!」
「うむ!いいだろう!」
即答してくれて気を良くして、小走りで店に入る。
様々な色の簪や櫛、紅などが並べてあって色々見て回る。
私も鬼殺隊とは言え女の子だからこういう物で着飾りたい気持ちはある。
「でも動きの邪魔になるしなぁ…枝に引っ掛かったりしないかなぁ…」
ブツブツと呟きながら自分の長い髪を弄りながら杏寿郎の事は放って品を見て回る。
ふと近くにあった組紐を見つけ、その中でも特に目に付いたものを手に取る。
「杏寿郎見てみて!この組紐、杏寿郎の髪色してる!」
「ん?本当だな!」
「ふふ、なんか良いねえ」
綺麗な輝色の組紐で、赤色が編み込んである。
これだったら欲しいかもなんて思うけど、私が杏寿郎の色を身に付けるなんて、両想いではあるがまだ恋仲では無いのに少し調子に乗ってるかもしれないと諦める。
他にも様々な日用品が置いてあって、これは杏寿郎に似合いそうとか、一人で色々と見ていた。
「はっ!ごめん杏寿郎!一人で勝手に楽しんでた!」
「いや、問題ない!百面相するAが面白かったのでな!」
「私そんなに色んな顔してた?」
「ああ、凄く楽しそうだったぞ!こういう物が好きなんだな」
「女の子だからね、好きなんだけどね。鬼殺してると中々身に付けることない物ばかりだよね…」
そろそろ出ようかと伝えると、うむ!と頷いた。
店を出る時に杏寿郎の手に先程まで無かった小包が握られているのが見える。
私が見て回っている時に欲しい物があって買ったのだろうか。
「杏寿郎は何買ったの?」
「む…少しそこに座ろう」
並んで椅子に腰掛けると、その小包を私の手に乗せてくる。
首を傾げると開けるように促され、そっと開く。
「あっ、これ…!」
中を見ると、先程の店にあった、杏寿郎の髪色をした組紐だった。
「俺からの贈り物だ。受け取ってくれるか?」
「え、でも…」
「君に付けて欲しい」
調子に乗ってるかも、なんて思って買わなかった。でも杏寿郎は私にこれを付けて欲しいという。
迷っていると、組紐を取られ、素早く器用に私の髪を結った。
「良く似合っている。俺の色だ」
「ふふ、嬉しいなあ」
「俺も嬉しい!」
満面の笑みを浮かべる顔を見て、少しくらい調子に乗ってもいっか!なんてついつい思ってしまった。
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青葉(プロフ) - 莉子さん» そんな風に言って頂けるなんてありがとうございます!とても励みになります´ω`* 頑張ります!! (2021年3月1日 23時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - 先程更新された分のお話読みました!凄く胸がキュンキュンしました^^やっぱりウブな煉獄さんが好きです!原作のイメージそのままです( ´ ▽ ` )更新頑張ってください! (2021年3月1日 21時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - 莉子さん» コメントありがとうございます。そうなんです、常日頃は鋭敏でも恋愛事に関しては鈍感だといいよなぁなんて思いますね^^* (2021年3月1日 21時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - もどかしいですねぇ^^でも煉獄さんぽくて、好きです。絶対鈍感ですもんね。 (2021年2月26日 19時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
青葉(プロフ) - ひまわりさん» 思う存分妄想を吐き出しております!もっと勉強しながら頑張ります、ありがとうございます! (2021年1月27日 10時) (レス) id: be645905ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青葉 | 作成日時:2021年1月16日 23時