今の話をしよう ページ1
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あれから。
あの日から、すでに６年が経過していた。
私はとある有名な星の某カフェの席に座り、窓からソウルの町を眺める。
今日も、変わらない風景。
あいつの姿も無い。
ストローから口を離して机にトンと置いた。
「A。ごめんね遅くなって」
そこへ、トレーを持ったお団子頭の女が目の前の椅子に腰を下ろした。
こいつはソン リウォン。
高校から出会った友達で、私の少ない友人の一人でもある。
「いや、待ってない」
「そっか。良かった」
ニコッと微笑むとストローに口を着けた。
苦かったのか蓋をあけてガムシロップを入れて混ぜ出す。
「ねぇ。最近はどう？大学」
「まあまあ」
そう言って窓の外に視線を放ると、リウォンは顔をしかめた。
「Aが嘘つくとき、いつも視線はずすよね」
その言葉に、私は眉をピクリと動かす。
ゆっくり視線を戻すと、リウォンはなんとも言えない顔で私を見ていた。
「大学、上手くいってないの？」
痛いとこをついてくれる。
観念しなければならないようで、大人しく頷いた。
「何かあったの？」
「私のせいで、彰人が嫌われた」
「え、彰人が？」
彰人とは、私とリウォンが高校の時に出会った男で、日本からはるばるやって来たらしい。
理由は父親の仕事の転勤。
よくある話だ。
最初は挨拶や簡単な言葉しか話せなくて、よくからかわれていたが、彼の人の良さと、ルックスで、たちまち人気者へとなっていった。
私たちが彼と話始めたのは２年生になったとき。
三人とも同じクラスで最初のレクリエーションが同じチームだった。
それがきっかけで仲を深め、今では毎日のように連絡を取り合う仲となっていた。
リウォンよりも頭が良くなかった私と彰人は別の大学へと進学。
高校と一緒で、何もかも変わらない人間関係になると思っていた。
だけど、私はバッサリし過ぎているせいかとても浮くようになった。
そんな状態で新しい友人も出来ず、次第に私は孤立していった。
そして、事件は起こる。
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作者名：大晦日詩乃 | 作成日時：2016年12月23日 17時
