患者さん ページ2
『韮木さん、入りますよ〜』
無事仕事に復帰した私は今日も病院で医者として働いている。
この人は私のもつ患者さん。
「つかやめろよ、その韮木さんってやつ」
『しょうがないでしょ、一応医者と患者さんなんだから』
私は病室の扉を閉めてニラギの方へ向きなおした。
この病室に入院しているのはニラギだけなため、扉を閉めてしまえばいつも通りの話し方に戻る。
『どう？今日の調子は』
「とくにどうもねぇよ、至って元気だ」
『それなら良かったです』
「A」
『なあに？』
「あいつは元気かよ」
『チシヤのこと？』
「そうだよ、あいつが退院してから会ってねぇからな」
ニラギは全身の火傷が酷いため、入院が長引いていた。
『元気だよ、今度お見舞い連れてこようか？』
「は？いらねぇよそんなん、あいつの顔なんざ見たかねぇ」
『気にしてたくせに』
「うるせぇ！どっかで野垂れ死んでりゃいいと思っただけだよ」
『素直じゃないんだから』
「んで、俺はいつになったら退院できんだよ」
『うーん、だいぶ良くなってたし、もうすぐだと思うけど』
「そうか、」
『どうしたの？』
「やっぱ連れてこいよ」
『誰をー？』
「てめぇわかってて聞いてんだろ！」
『あはは、ごめんって』
「退院したらもうAにも会わなくなるかもしれねぇだろ、そんならついでにあいつにも会っとくってだけだ」
『はいはい、でも退院しても会ってくれないの？』
「忙しいだろ、医者なんて」
『別にだいじょぶだよ、ほら3人でどっか行こうよ』
「ああ、約束破んなよ」
『よし！じゃあ絶対退院しなきゃね！』
「おお、そんな張り切んなや」
『だって楽しみなんだもん！』
私の患者さん兼お友達。
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作者名：チェシャ | 作成日時：2024年3月29日 0時
