私達の主役は〇〇だ

No.53 信じるか疑うかなんて ページ8

何の用だろうか。はなみの件だってことだけは確かなんだよなぁ。なんだろう怒られるのかな。口撃は私が不利だぞ。

os「食堂の件やねんけど」

食堂・・あぁ、あれか。人生の道を自分で割いて分かれ道にしたやつ。

os「単刀直入に聞くな。はなみにいじめられたという証拠があるんやろ」
sho「え、あるんすか！？」

オスマンとショッピくんの視線が私に突き刺さる。痛い痛い痛い。

あれなんか物理的にも痛い気がする

ショッピくんの手が私の肩にめり込んでたわ。力強いって！！ご褒美か！？

『な、なんのことでしょうか・・』
os「とぼけても無駄やで。はなみに証拠を求められたとき、君何か言った？」
『・・・』

はぐらかしましたね。

os「無い、なんて言ってないよな」

言ってませんね。

『うぅ・・・』
os「俺の前ではyesかnoで答えてな。」

嘘通用しなさそう。しないだろうな。外交官といえば文字通り外交。国と国の橋渡し。嘘と嘘のせめぎあい。私のような小娘の嘘なんて見抜くだろう。

os「確固たる証拠はある？」

深い緑の瞳が私を見透かす。逃げられないと、本能が告げる。

『ぅ・・あ、あります』
sho「！」

ポケットからボイスレコーダーを一つ取り出す。

sho「あんた馬鹿っすか！」
『えっ！？』

急にご褒美、じゃなくて罵倒するやん！なに！？

sho「そんなん出して破壊でもされたらどうするんすか！」
『えっ・・あ、あー・・』

そこまで考えが回らなかった。ショッピくんは私の頭を叩く。あの、だいぶ扱いが雑になってる気がする。

os「信用されないのは百も承知や。でも」

オスマンは膝の上で手を固く握る。

os「俺は真実が知りたいねん」

私は嘘をつくことは嫌いだし苦手だし、他人の嘘を見抜く事も出来ない。

だけど

私は楽が好きだから

人を疑う苦より、信じる楽をする。

『聞きますか』
os「頼むわ」

ボイスレコーダーの録音を再生する。聞こえるのは


五分足らずの短い音声。はなみの汚い罵声。


オスマンは表情ひとつ変えずに聞き、ショッピくんは苦しそうな顔で耳を傾ける。

私？いやうん、このとき「こいつ録音されてることわかってねぇんだろうなクソワロタ」と思って聞いてたなって思い出してた。

スイッチを切り、ポケットにしまい直す。

os「肯定すべき人間、間違えたなぁ」
『へ？』
os「疑うべきは人間なんて、初歩中の初歩やってのに」

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