【#コンパス】その、終わりのない日々は……。【短編集】

【Ｃ】その、暖かい暗闇のなかで……。《１》【グスタフ】 ページ45

・オリジナルではなく、別衣装のわんたふが登場します。


＊


今日は、テスラちゃんとアリーナで遊ぶ約束。
なので私は今、けっこいスターパークの控え室に向かっています。

私が《Ｓ２》ランクに飛び級昇格した時は、テスラちゃんもみんなも自分のことのように喜んでくれて、お祝いパーティまで開いてくれたんですよ。
ルチさんが作ってくれたイチゴたっぷりのショートケーキ、とっても美味しかったなぁ……。
本人は、"疲れたから当分作らない"って言ってましたけど。

控え室に到着しました。
中には誰もいないみたいです。
一番乗りでしょうか？ふふっ。

テスラちゃんと他のメンバーを待っている間にって、本棚から何か面白そうな本を探します。
『七色の人形使い』……これもいいけど。
『猫の妖精 ケット・シー』……あっ、これも面白そう。
これは……『世界でいちばん残酷な魔女』？
何だかちょっと怖いなぁ、やめとこうっと。

そんな風に本を探して、一つを選んだらソファに座って読みましょう。
読み終わる前にみんな来ちゃうかもしれないけど、そうなったら続きは今度読めばいいんです。
……そうやって本を開こうとした、その時。


――バチンッ！


「きゃぁ！？」

部屋の明かりが突然消えてしまいました。
停電なのかな、どうしたんだろう。
きょろきょろと辺りを見回すけれど、当然真っ暗だから何も見えない。
ええっ、こういう時ってどうしたらいいの……？

「はわ、はわわわ、どうしようっ」

「……五月蝿いなァ、停電くらいで取り乱しやがって」

「……！？」

私が座っていた所の斜め後ろ辺りから、そんな声が聞こえた。
この声は……あまり聞くことはないけど、多分グスタフさんかな。
あれ、でも私が一番乗りだったはずじゃ……？

「グスタフさん、ですよね？
いつからそこにいたんですか？」

「俺は最初から居た。
ドアの真っ正面だろ、気付けよ」

「あ……あれそうだったんですか？
ごめんなさい、おっきなぬいぐるみかと思って……」

「失礼な事言うなお前……」

ええっ、本当に気が付かなかった。
だっていつもは、ああいう格好じゃないんだもん。
おっきなワンちゃんのぬいぐるみが、壁に寄りかかって座っているように置かれてたのかと思ってました。

「犬じゃない、狼だ。
次変な事言ったらアリーナで八つ裂きにでもしてやる」

「ええっ！？ごめんなさい！」

(八つ裂きは冗談なんだがな……)

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