【E】るちあーの、るっちぇりーの《1》【ルチアーノ】 ページ19
今日のアリーナは、立体交差だった。
生命溢れるステージに、命を奪う殺し屋が生命遊戯を行う……なんていう可笑しな話だが、今となってはもう慣れてしまっている。
勿論満足な結果を残せたので、帰る前に軽く昼食を食べようかと自販機へと向かった。
此処の自販機は、飲み物だけでなく軽食も購入可能である。
木陰のベンチに座り、パンの袋を開けようとした、その時だった。
ガサガサ、と頭上から木の葉の擦れ合う音がする。
何かと思って見上げると、先程の試合で味方側にいたAが、木の上に登って何かに手を伸ばしていた。
目線を辿ると、枝先には花飾りのついた麦わら帽子。
おそらくVoidollに支給されたらしい別衣装を纏った彼女の物だろうが、このまま進んでしまっては枝が重さで折れて落ちてきてしまう。
と、言う訳で懐から例の銃を取り出し、帽子を傷付けずかつ枝をなるべく大きく折らないような場所を狙い撃ち、その枝と共に帽子を手元に落としたのだった。
*
「ふろーろい、ふろーろい、かんたす」
帽子を取り戻せたAは、木から飛び降りると私の隣に座り、その帽子を自分の膝の上に逆さにして置いた。
機嫌が良いのか、歌も歌いながら緩やかに揺れている。
先程から私の傍を離れようとしないので、私はその綺麗な歌声を背景音楽に昼食を食べる事になる。
それでも私がこの場所を動かないのは、Aの歌が好きだからという訳では無く(確かに美しい声だとは思うが、それが理由という訳では無い)、彼女について少し気になっている事があるからだ。
Aの歌に引き寄せられるようにして、一羽の小鳥が彼女の膝元の帽子へと舞い降りた。
それを見て、Aはまた嬉しそうに歌い出す。
「びりど、びりど、かんとぅ」
帽子を揺らしても、その中に乗っている小鳥が逃げることは無い。
それは、今の私と同じような状態なのだろうか。
飛べるのに、飛ばない。
離れる事は出来るのに、私は離れない。
……ふと、Aは歌を止めた。
「……ルチアーノさん」
「何だ」
「背中にあるものって、何で見えないのかしら……」
急に歌うのをやめて何を言い出すかと思ったらそんな事か。
自分の背中にある物が自分で確かめる事が出来ないのは当たり前の事なのであって――。
「――ッ!?」
私は思わず後ろを振り返った。
が、そこには木の幹しか無い。
突然の事でつい気が動転してしまったが、深呼吸をして落ち着きを取り戻しながら前へと向き直る。
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愛里(プロフ) - Twitterフォロしたよっ! (巨乳好き説) (2018年9月2日 16時) (レス) id: 95c5af7e07 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - 初めてのCグスで〆る。 (2017年11月18日 23時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - リリカちゃんきょぬーにしてしまった……。 (2017年11月16日 20時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - コスマル太郎さん» 応援ありがとうございます。丁度マリアさんの次に書く予定でしたので、少々お待ちを。(コメント感謝)(最敬礼) (2017年11月12日 11時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
コスマル太郎 - アダムきゅんとの絡みが欲しいです…←出来ればでいいので!応援してます!頑張ってください! (2017年11月12日 1時) (レス) id: 1e17411a9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レウィシア | 作成日時:2017年11月5日 16時