*《3》 ページ22
「……マルコス?
……おい、マルコス!しっかりしろ!
なあ、返事をしてくれ!頼むよ……!」
返事は無い。
怖くなって、何度も叫んで揺すった。
それでも、反応は無かった。
「そん、な……」
「……うふふっ!」
"リリカ"は笑う。
嬉しそうに、楽しそうに……今までの笑顔は、まるで嘘だったかのように。
「やっと、応えてくれたの。
リリカのハートに、夢に……」
「……"リリカ"の、本当の力が……!」
「……っ!」
もう一度、強い光が僕の視界を塞いだ。
大きな音が、衝撃が、僕の身体を叩きつける。
何も、出来なかったんだ。
こうなる前に、僕達に何か出来ることは無かったのだろうか。
"リリカ"は、僕達を嘲笑う。
「はー、よかった。
これでもう、リリカに嫌な声を聞かせてくる人なんていなくなったね!」
"リリカ"は去ってゆく。
倒れている僕達を、一時も視界に入れずに。
「さて、リリカの新しい力を、みんなに見せつけてこよっかな!」
"リリカ"は去ってゆく。
その力を、今度は別の者に振るう為に。
(ああ、リリカ。君は……)
間違っているよ……。
動く事も出来ない僕達には、そんな一言も言えないのだった……。
*
「……」
気が付いたら、医務室のベッドに寝ていたみたいだ。
まだ、身体の節々が痛い。
右のベッドには……やっぱりマルコスがいた。
「……ぁ……気が付いた……?」
「……マルコス」
僕の方に少しだけ顔を向けて、小さく、ほんの少しだけ手を振った。
僕を庇ってリリカの攻撃を受けたのだから、彼は僕よりも酷い状態になっているのだろう。
僕と違って上体を起こせないのも、いつも以上に声に元気が無く掠れているのも、そういう事なんだ。
「……ごめん」
「……いや……」
続かない会話、続く沈黙。
お互い、何を言ったら良いのか分からないんだと思う。
そんな静かな空間の中、医務室のドアが開く音はいつにも増してよく聞こえた。
「あっ、二人とも気が付いたみたいですね……」
「大丈夫デスカ?」
ジャンヌと、ボイドールだ。
きっと倒れた僕達をボイドールが探知、転送し、ジャンヌが手当をしてくれたんだろう。
……リリカは、やっぱりいない。
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レウィシア(プロフ) - マルリリさん» わぁ……!ありがとうございます。そう言ってくれる人が一人でもいらっしゃるだけで、私の心はとても救われます。これからも書いていきますので、どうか末永くよろしくお願いします……!(最敬礼) (2017年10月23日 20時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
マルリリ - ハロウィンの話メチャクチャ面白いというか、全部の話が面白いです!更新頑張ってください!! (2017年10月23日 1時) (レス) id: 5ef7ab9b35 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - トーク機能を使うことで会話がかわいらしくなるあら不思議。 (2017年10月20日 0時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - まだお話も書いていないのに評価とお気に入り登録が来ていて驚いています……。ありがとうございます。(最敬礼) (2017年10月14日 11時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
レウィシア(プロフ) - 雪兎(うさぎ)さん» わぁひ。そう言ってもらえると私もとっても安心出来ます。ありがとうございます……!ちなみに私は全天もディーバもノーガードも持っておりません。← コメントありがとうございました。(最敬礼) (2017年10月14日 11時) (レス) id: b8b95089d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レウィシア | 作成日時:2017年10月13日 19時