揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ6)

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時計の針は9時をさしていた

ぐぅぅとお腹が鳴る

体はいつでも正直だ

その音が聞こえていたのか元太は朝ご飯食べよっかと言う

「何食べたい？UberEATSで頼むよ」

「泊めてもらったしさ、軽くでよければ私なんか作るよ」

そう言うと本当！？と目を輝かせる

やはり子犬のよう

「冷蔵庫のやつ好きに使っていーよ」

「ありがとう」

キッチン借りるねと伝え、冷蔵庫を開ける

一人暮らしだからと侮っていた

整理された冷蔵庫

タッパーに入っており、しっかり作り置きされている

よく見ると低音調理器等高価な調理器具も揃っていた

意外。元太って料理するんだ。

そう思うと同時に私が作るなんて言ってしまったことを酷く後悔した

「なにつくるの〜？」

私がキッチンに立っていると肩に顎をのせて手元を覗いてきた

「本当に簡単なものしか作れないから期待しないでね
私、元太みたいに料理できる子じゃないから」

「え？俺料理できないよ、包丁とかまじ何年ぶりって感じ…」

そこで元太はハッとした顔を見せる

「もしかして冷蔵庫見た、、？よね、、」

心底やらかしたという顔をする

そこで私は女の影に気付く

「あれ？意外と一途って誰のセリフだっけ？」

私は昨日のお返しだと言わんばかりに元太を煽る

「うっわ、、、」

私の足元にしゃがみこみ、長い前髪をかきあげる

「違うからね、Aさん、別に」

早口で言う元太を遮る

「別に私は元太に女がいてもいいよ、私たち付き合ってるわけじゃないんだし」

自分でもそう思ってた

そう思っていたハズだった

なのに何故か自分の言葉の冷たさに驚いた

その時元太は心做しが少し表情が曇ったような気がした