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この間の海人、様子変だったな




仕事帰り、先日の件からずっと脳内を占めていた話題を悶々と考える




しかし答えなんて出る筈もない




「あ、、」




歩いていると視線の先に見知った姿が見えた




あのふわふわの黒髪




間違いない、元太だ。




「げん、」




そう言い終わる前に視線の先の人物と目が合った




しかし何故かすぐに逸らされて私を視界に入れないかのようにすぐに遠のいていった




私はその足で久しぶりにバーへと向かった




私はカウンターに腰掛ける




「お久しぶりです、Aさん。いつものカクテルにしますか?」




久しぶりに来ても優しく出迎えてくるマスターになんだか涙が出そうになる




「今日は強いお酒が飲みたい気分」




そう言うと全てを察してくれたのか何も言わずにマスターはお酒をつくり、私の前へと出してくれた




グラスに口をつけると強いアルコールの刺激が鼻腔を抜けた




そのすぐ後、私のスマホが着信を知らせた




「もしもし?」




「もしもし、俺、海人。これからちょっと話したいんだけど」




私はいいよと言うとこの後近くの公園で、と言われた




私はすぐにお会計を済ませて約束の場所へと向かった




公園に着くとベンチに座っている海人を見つけた




「ごめん、お待たせ」




ぜーんぜん今来たとこ、と言う海人




「飲んでたの?」




「うん、前通ってたバーに久しぶりに行ってた」




「あ、元太と初めて会ったとこか」




そう言うと海人は何故か「あっ、」と声を漏らした




なに?、なんて聞くけど教えてはくれない




それから2人でベンチに腰掛けた




「で、話って?」




「俺、まだ告白の返事しっかり貰ってないなと思って」




私は思わず息を飲む




「海人、私、」




向き合って言おうとしたところで視線を落としたまま海人は遮った




「俺のこと振ってほしい」




「え………?」




思ってもみなかった言葉




「なんで、、?」




そう聞くと静かに海人は喋り始めた




そして先日の出来事を教えてもらった




「俺、ほんっとずりーよな。アイツは正々堂々向き合ったのに逃げたのは俺。」




「そんなことな」




「あるんだよ。お前もちゃんと自分の気持ちに素直になれって。じゃないと俺が許さないし、報われない」




強い語気だがその言葉からは海人の優しさを感じた




「A、今までありがとう。好きでよかった」




その声は涙に揺れていた

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作者名:ゆい | 作成日時:2021年8月10日 16時

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