検索窓
今日:3 hit、昨日:30 hit、合計:59,263 hit

38 ページ38

*海人side




「お!いらっしゃい、お仕事お疲れ様!」




そう言ってAは出迎えてくれた




「待たせてごめんー!」




そう言いながら俺は中へと上がり、慣れた手つきで先程買ってきたお酒を冷蔵庫へと入れた




その際、箱はAにバレないようにズボンのポケットへと忍ばせた




その時、先程の元太の顔が脳裏によぎった




確実に見てたよな。
でも何も言ってこなかったし。




あー、ダメだ。今アイツのこと考えんのはよそう。




俺は意識を切りかえ、冷蔵庫に入っていた冷えたビールを手に持った




先程言っていた映画を探しているA




俺は背後からこっそりと近づき、その首筋に缶を当てた




「わっ!?……って、何すんのもう!」




そう言って怒るA




「なんて声出してんの。そそられるからやめて」




俺は笑いながらAの隣のソファーへと腰掛ける




「変態。馬鹿なこと言わないで」




そう言いながら視線をテレビに戻すA




あー、可愛い。襲いたい。




そんなことをつい思ってしまう




__________




気になっていた映画を見終わった頃




お互い良い感じに酔いが回ってきた




するとAが口を開く




「今日、泊まっていく…?」




その問いに俺は頷く




この先を予想したのかさっきよりも少し顔が赤らんだA




それからどちらからともなくベッドへと向かった




寝転がったAの上に跨り、乗る




服を優しく脱がしていく




ああ、もう我慢できねぇ




自分のベルトに手をかけ、緩めた時




「ちゃんと、付けてね…?」




そう言われ、俺はズボンのポケットに手を入れ箱を取り出した




その時、先程の元太の顔を思い出した




俺の異変に気付いたのかAは、のそりと上半身を起こして顔を覗き込んできた




「どうしたの?」




その声にハッと我に返り、「わりーわりー」と謝る




そしてもう一度、箱に手をかけた




しかしどうしてもちらつく元太の影




ああ、邪魔すんなよ。って、あー俺チキってんのかな。




先程までの欲はどこへいってしまったのだろうか。




「ごめん、今日はやっぱりやめておこう」




そう言って俺はAの上から退いた




「どうかした…?何かあったの?」




心配そうに聞くA




「いや、ただこれは俺の問題だから。本当にごめん」




そう言うとAはそれ以上は聞いてこなかった




その日箱の中身は減ることもなく一夜を過ごした

39→←37



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (104 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
279人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆい | 作成日時:2021年8月10日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。