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*元太side




ケイと遊んだ帰り道




俺は浮ついた気持ちでAの家へと向かった




「ここだったかな」




スマホの現在地を頼りにAさんの家の前へと着く




「今日何の連絡も無しに来ちゃったけど大丈夫かな」




家の目の前にしてそんな弱音をつい吐いた




手元の紙袋に目を下げる




まあ居なかったらドアノブに掛けておけばいっか




そう思い、歩き出そうとした時




人とぶつかってしまった




しかも相手は持っていた袋の中身を盛大にぶちまけた




「あ、すみませ、って元太じゃん」




なんだか聞き覚えのある声




声の主を見る




「あ!海人か、」




そこにいたのは海人だった




「ごめん、だいじょ、」




そう言いかけたところで俺はある物が目に入った




'箱'だ




自慢ではないが俺は幾度も買ったことがある




間違えるはずがない




にしてもなんで海人が…?




必死に思考をめぐらせるがどう考えても、考えたくもない結末に辿り着く




俺が馬鹿だから?違うよね、そんなの信じられない




そう思い振り絞った力で聞いてみる




「これからAに会うの?」




その声は自分でも驚くほど弱く、か細かった




聞きたくなかったのに何故か不意を着いて出てしまった




海人は散らばったお酒やおつまみ、箱を袋に仕舞いながら




「そうだけど」




気にしてるのは俺だけなのか?




なんだか大人の余裕を見せつけられたみたいで心底自分に腹が立った




「そっか、じゃ俺帰るわ!」




「おい、元太!」




そう呼び止められた声が聞こえたが俺は知らないふりをして来た道を戻った




その間1度も振り向くことが出来なかった




「ああ、ほんっとなさけねー。成長してねーじゃん」




そう呟いた俺の声は空に消えていった

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作者名:ゆい | 作成日時:2021年8月10日 16時

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