揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ36)

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＊海人side

「俺見たい映画あるんだよねー」

「なんてやつー？」

Aの家へと向かう途中

俺はポケットからスマホを出し、検索画面をAに見せた

「あ！これ、私も見たかったの！」

「サブスクに入ってるらしいよ」

「じゃあうちで見れる！」

やったー！と嬉しそうなA

それを見て俺も嬉しくなる

「じゃあお酒でも飲みながら見よーよ！」

Aはそう言うと、冷蔵庫に入ってたかな、なんて考える

「いいね、余計楽しみになってきた」

そう言った時手元のスマホが鳴った

画面を見ると会社の同僚から

察したのかAは出ていいよと言う

俺はごめん、と言って電話に出た

『ごめん、海人！来週あるはずだった会議の日程がズレて今すぐ資料が必要になっちゃって』

電話に出るなり早口で喋る相手

電話越しの同僚が慌てている様子が伝わってきた

『休みの日に申し訳ないんだけど海人の資料送って欲しくて！』

コイツの言う会議はいつも贔屓にしてもらっているお得意様が相手だ

俺みたいな平社員が断れるはずもない

資料は家のパソコンにデータが入っている為、送るには1度家に戻らなくてはならなかった

俺は腕時計を確認した

時刻はもうすぐ18時をまわる

「わかった、早めに送るよ」

『本当にごめんな！』

俺は軽く相槌を打って電話をきった

「大丈夫だった、、？」

心配そうに見てくるA

ああ本当は仕事なんてすっぽかしてやりたい

そんな気持ちをグッと押し殺して

「ごめん、A、仕事入っちゃったから1回家戻るわ！終わったらすぐAん家向かうから待ってて！」

そう言うとすぐに

「わかった！」

そして微笑んで、頑張ってね！と言ってくれた

俺は家へと急いだ

__________

仕事も終え、すぐさまAの家へと向かう

「ああ、さすがに手ぶらじゃ悪いか」

そう呟き、近くのコンビニでお酒とおつまみ、

そして' 箱 'を購入した

そのまま俺はその足でAの家へと向かった

Aの家の前へと差し掛かった時、俺はコンビニで買った袋の中身を見ながら歩いていた

その為前から歩いてくる人物に気づかずぶつかってしまった

「あ、すみませ、って元太じゃん」

「あ！海人か、ごめん、だいじょ、」

ぶつかった衝撃で散乱した袋の中身

言いかけた元太の視線は箱を捉えていた