揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ32)

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＊元太side

今日は学校終わりにまたケイと約束していた

と言っても俺は今日午前で終わり

ケイも仕事が休みだった

お昼から2人で約束してそのまま買い物をした

「なあー、これとか良くない？」

そう言って手に取ったのは驚くほどレンズの小さい眼鏡

これいいなあ、なんて言いながら輝いた目で辺りを見渡すケイ

ケイはとてもお洒落で普段俺が取り入れないようなアイテムを身につける

そんなケイのファッションは俺に刺激を与えてくれる

俺はふとお店の奥に陳列されていたアクセサリーコーナーに目が留まった

その中でひとつ気になったものを手に取った

小さなハートが付いたピンクゴールドのネックレスだ

するとケイが気付いて俺の手元を覗き込む

「それ、Aさんに？」

俺は頷く

「似合うかなって思って」

このネックレスを付けたAさんを想像した

かわいい…ぜってー似合う

するとおい、と声を掛けられた

「顔が緩んでますよ〜元太さーん？」

「…うるせー」

俺はハッと我に返りケイにそう返した

「とりあえずそれ買ってくれば？」

そう言われ手元のネックレスに目線を落とす

「ああ、ちょっと買ってくる」

「おっけー、いってらっしゃい！」

俺も何か買っちゃおっかな～なんて言いながら先程の眼鏡コーナーに戻るケイ

そんなケイを後ろに俺はレジへと向かう

「ご自宅用ですか？プレゼントですか？」

そう聞かれ

「あー、プレゼントです」

つい目が泳いでしまう

「かしこまりました、彼女さんへのプレゼントですか？」

慣れた手つきで先程のネックレスを包装する店員さん

マニュアルなのだろうか、自然と聞いてくるもんだから俺はだじろぐ

「喜んで貰えるといいですね」

とびきりの営業スマイルであろう爽やかな笑みと共に紙袋を渡された

「ありがとうございました！」

店員さんの挨拶に会釈をして品物を受け取る

くるりと方向転換すると見終わったのかケイが既に出入口のところに立っていた

俺はケイの隣へ行く

その後買い物しながらも店員さんの何気ない質問への正解をぐるぐると考えていた

俺とAさんの関係性ってなんだ？

そういう関係でもないし、はたまた恋人でもない

少し先を歩いていたケイが振り返り俺を呼ぶ

「あ、悪い悪い」

その時ケイとAさんが重なった気がした。