揺れる気持ち〈うみげん〉 (ページ27)

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「うぅ………」

おでこにはぬるくなった冷えピタ

横のテーブルには飲み物と薬が用意されていた

あ、、そうだ私海人に看病してもらってたんだ…

飲み物で乾いた喉を湿らせた

少しだるい体をのそりと動かしてリビングへ向かう

寝室の扉を開けると暗がりにいた為か、慣れない光に少し目を細めた

「お、起きた！おはよう」

そう言ってこちらを振り向く海人

と

「Aさん、体調大丈夫？」

元太がいた

私は記憶を辿った

そうだ、元太と電話した時に海人が呼んだんだった

私が寝室の入口で固まっていると

「ほら、Aこっち座って」

椅子をひかれて手招きされる

「食欲ある？海人と俺で作ったんだけど」

私は首を縦に振った

席に着くと2人がテキパキと配膳してくれた

私の右隣には海人、テーブルを挟んで真向かいに元太

なんとも不思議なメンバーだ

「いつの間に仲良くなったの？」

2人の作ってくれたたまご雑炊を口に運びながら聞いた

「秘密♡」

私が怪訝そうな顔をするとすぐに元太が

「Aさんが寝てる間にゲームしてた！」

それを見て「おい、言うなよ！」と言う海人

2人って今日が初対面なんだよね？

そんなことを感じさせない2人のテンポが私にはとても心地よく感じた

「あ、このスープ俺が作ったんだよ！」

私がこれから口をつけようとしていた目の前のスープを指さす元太

1口飲んでみる

「…！美味しい！」

元太のつくってくれた野菜スープはとても温もりと優しさを感じた

「あれ、でも元太って料理作れないんじゃなかったっけ？」

そう聞くと海人が

「いやコイツさ、まじで危なっかしくてヒヤヒヤしたんだよね」

「ちょっと！それは言わない約束じゃん！」

でも、と続ける海人

「俺がAさんに作ってあげたい〜って言って最後までつくったんだよ」

な？元太、と元太を見やる

元太は少し恥ずかしそうに

「だから、美味しいって言ってもらえて、嬉しい」

ふはっと笑って良かったなと言う海人

「あ、でもこっちの方が美味い自信しかねぇ。何せ俺ちゃんと自炊するし？」

そう言って海人が作ったのであろうたまご雑炊を指さす

「俺料理初心者なんだからマウント取ってくんなよ！」

わいわいする2人を横に私は2人のつくってくれた手料理を口いっぱいに頬張り、幸せの味を感じていた