終電 sz ページ16
吉澤side
彼女から飯の誘いがあった。
普段はお互い忙しくて都合の合う日は少ないけど、そんな中でこうやって一緒にご飯食べてお酒を飲むひと時が、俺にとっては幸せだったりする。
「今日のお店、お酒美味しかったね」
『A結構飲んでたけど大丈夫か?』
「大丈夫大丈夫、私強いから」
全然平気!って笑う彼女に苦笑いを浮かべる。
「良かった、終電まだ間に合う」
店を出てすぐ、スマホの時計を確認して彼女が呟いた。
『俺も今日は電車で帰ろっかなー』
「えー...バレないの?」
『俺ビックリするぐらい気付かれねぇから』
オーラねぇから!って威張って言ったら笑われてしまった。
彼女と俺の帰る方面は一緒だから、同じ電車に乗り込む。
終電ってガランっとしてるイメージだけど、実際想像より人がいる。
たまたま端に空いてる席を見つけて、二人並んで座った。
「眠くなってきちゃった...」
お酒が入ってるからか、発車してから程なくして彼女がウトウトし出した。
俺より彼女の方が早く降りるから、もし彼女が寝ても起こしてやればいいか。
『俺にもたれていいよ』
「ううん、大丈夫...」
なんて言いながら、数分後には俺の肩にもたれかかって寝てるんだから何が大丈夫なのか全然わかんなくて。でもそこが可愛くて微笑んでしまう。
すぐそばにある寝顔をまじまじ見つめる。
そろそろ俺のもんにしたいな....なんて考えながら。
体に感じるわずかな振動が心地良く感じてきて、いつの間にか俺もウトウトしてしまった。
ウトウトしてただけで寝てたわじゃない...って言いたいところだけど、寝てたみたいで。
ガタンって体に強めの揺れを感じて目を覚ました。
隣の彼女はまだ俺にもたれて寝てる。
視線を上げた時停車駅を知らせる電光掲示板が目に入って、一瞬固まる。
『...しまった』
彼女の降りる駅、もう過ぎてる。
ヤバイ。
てか、俺んちの最寄りも次じゃん。
『おーい、起きろ』
「んー...」
『起きろってば、降りるぞー』
「え、あ、ついたの?」
停車した電車から二人で降りる。
行ってしまった電車を眺めて、小さく溜息をついた。
「...なんで閑也くんも降りてるの?」
まだもうちょっと先でしょ?って。
205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
TUGUMI(プロフ) - ちんたんさん» お返事ありがとうございます!いえいえ。とっても楽しい作品に出会えて良かったです (2020年8月28日 21時) (レス) id: b6b6b260bf (このIDを非表示/違反報告)
ちんたん(プロフ) - TUGUMIさん» コメントして頂きありがとうございます。初心者ながらの作品読んでいただき、さらにコメントまでとても嬉しいです!これからも不慣れではございますが更新していきますのでよろしくお願い致します♪ (2020年8月28日 16時) (レス) id: 481cab572a (このIDを非表示/違反報告)
TUGUMI(プロフ) - 凄いキュンキュンしました!とっても楽しかったです!!更新頑張って下さい!! (2020年8月28日 15時) (レス) id: b6b6b260bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちんたん | 作成日時:2020年8月23日 1時