金木犀 (ページ4)

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「まぁ、ポピーのお花ですか？

とてもお綺麗ですね、奥様もきっとお喜びになられますよ」

松野さんにそう言われて私はとても嬉しくなった

少し浮かれてもいた

だから、気づいたら隣にいたはずの松野さんがいなくなっていたのだ

『あれ、？松野さん、？？』

そう、迷子になったのだ

私は一気に不安が込み上げてきて、目から涙が溢れ出てきた

しばらくして、歩き疲れた私は紅葉の木の下に腰をかけた

母様にあげるお花を2輪を両手で優しく持ち、下駄を履いているのにも関わらず土で泥だらけになった足を眺めていると

ふいに視界が暗くなった

「ねぇ、こんなとこで何してるの？」

顔を上げると、私のことを不思議そうに見る男の子の顔があった

『あ、えっと、、その、迷子に、なっちゃたの』

「ふーん、そっか

だから泣いてるの？？」

『うん、、寂しくて』

質問をしてくれたわりには興味が無さそうに返されて少し悲しくなる

「俺、景瑚！9さい！！

君は？？」

景瑚の名乗った少年は目線を私に合わせるよう覗き込むようにして、しゃがんだ

『A、、5歳です』

「Aか！可愛い名前！！」

同年代の男の子と話す機会など全くない私はとても緊張した

でも、不思議と迷子になってから不安だった気持ちがどんどん和らいでいった