空虚の呼吸 ページ8
山を登っていると、足元に張られていた縄に気づかず軽く躓いてしまった。
ちりん、
美しい鈴の音。
「えっ、、、」
右は赤い眼の鬼。
左はものすごい勢いで迫る大きな丸太。
俺は丸太と鬼が迫る中、丸太にあたる寸前で木の上へ飛んだ。
もちろん鬼の力を使って。
「ぎゃぁ、、、」
潰れたみたいだけど、鬼の声がした。
「鬼さんごめんね、、、
なんか申し訳ない」
そういって山頂の方へ走った。
期限は朝の5時。
空が藤色になる頃。
どこかしこに張られた縄を避けつつ、追ってくる鬼をかわすのは
空薄山ではかなり辛い所業だった。
「おい女ｧ!!
逃げんなやらせろよｫ!!」
「鬼とまぐわうような趣味など無い!!」
抜刀しながら答えた。
「空の呼吸、伍の型、風圧一掃!!」
鬼の首が飛ぶ。
だが一時しのぎだ。
なので脳髄を啜る。
「あ、ぁ、、ぁああ……ぁ───」
生きたまま脳髄を啜られる感覚とはどのようなものなのか。
海馬まで啜り終えたら鬼は琴切れた。
そして荷物をかばい、ぼろぼろになりながらも着いた山頂、空伊宅。
空は藤色にもなっておらず、しっかりと星が瞬いていた。
「ぁの…お兄さん
ただいま戻りました…」
買い物へ町へ降りたのは夕方頃。
遅かっただろうか。
「お帰り、A。」
がらりと戸が開き、現れたのはやさしく微笑むお兄さんだった。
「早かったじゃないか。
良くやったな。
さて、風呂敷の中身を見せてもらおうか。
上がって。」
優しい手付きで頭を撫でたお兄さんの瞳は鋭い眼光を据えていた。
ブーツを脱ぎ、上がらせてもらう。
そぅっと風呂敷を下ろして
「言われていたものです。
おつりが出ましたのでこちらも。」
すっと小銭の入った巾着を出す。
「あぁ、ありがとう。
たまごも割れてない、折れやすいものも折れていない
…大丈夫だな。」
お兄さんはそう言うと空気が変わった。
「よし、合格、と言うところだな。
鬼殺隊の最終試験に行くためにはわしら、
"育手"という者に鍛えられ、許可されたものだけが受けられる試験なのだ。
A。
お前は今すぐにでも行く事ができる。」
そこまで言った空伊さん。
「しかし、率直に言うが、お前は鬼。
周りから言えば鬼は鬼、人を喰らう者だ。
分かるな?
お前はあと1年でもっと上へ行かねばならぬ。
1年で、空虚の呼吸を使えるようになれ。
共に、────も習得するのだ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Ro:A - 死音心音2.0さん» こちらこそ見ていただきありがとうございます! あっ、、、()すみません!すぐ訂正します!報告ありがとうございます!また誤字などあればすみませんが報告お願いします、、、 (2019年9月20日 4時) (
レス) id: d0a449ebbf (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - いつも素敵なお話をありがとうございます！あの…しのぶさんは蝶柱ではなく、蟲柱ではなかったでしょうか…？ (2019年9月19日 22時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
Ro:A - 死音心音2.0さん» あぁあああああああッ!!!!!(汚い高音)ありがとうございます!応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月12日 19時) (レス) id: d0a449ebbf (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - とても面白い作品ですね！主人公ちゃんも魅力的で、素敵な子です。これから伸びていくことを願っています。これからも応援させていただきます！ (2019年9月12日 14時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ro:A | 作成日時：2019年8月19日 4時
