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悪い夢 ページ3

「ねーちゃん!
なぁなぁ、ねーちゃん!」


ぼぅっとする中でそんな声が聞こえた。


「な、奈月…?」


その声は紛れもなく、弟である奈月の声だった。

私の家はめずらしく、私と弟しか居ない家だった。


「そーだよ!

ねーちゃん!なでて!

俺ね、さっき父さんの手伝いしたんだよ!」


きらきらとした目で訴えてくる弟はかわいかった。

いつも、ちゃんと手伝いをしたら撫でてやっているからだ。


「おぉ、えらいじゃないか!
よしよし、なでてやろう!」


いつものように優しく撫でていた。

弟はいつもどうり、目を細めて心地よさそうにしていた。


「ありがと!
大好きだよ!ねーちゃ」


言い終わる前に、弟の首から血が噴き出した。


楽しそうな笑みを浮かべていた弟から表情がすっと消え、一気に生気が抜けた。



弟が倒れ、私は必死に名前を呼び、起こそうとした。



「無駄だ、女。」



低い声が聞こえた。

白い、黒帯の巻かれた帽子をかぶった男。

髪は癖があり、すこしくるくるとなっている。


美形だといわれるような見た目だが、目は赤く、肌は死にそうに白かった。


台所に目をやれば、母さんが

外を見れば父さんが

目の前を見れば奈月が真っ赤になって倒れていた。



「全部…お前がやったんだよな…

そうなんだよな?」



この時の私はひどく冷静で、死ぬほど冷たかった。

眉間に鋭いつめを突き立てられても、痛かったけど、少ししか痛まなかった。


胸の方が痛かったから。



「お前も死ぬか?
それとも独り生きるか…」


「家族が死なないように、生きる」


「今、死んだだろう?」

「人は忘れられると死ぬんです。
忘れられなければ、心の中で生き続けます。」


そう言うと、男はそのままどこかへ消えてった。


その瞬間、意味の分からない空腹感が襲った。

家族がほんの少し、美味しそうに感じたのだ。


さっきの男を思い浮かべればもっと、もっともっと、美味しそうに思えた。


『鬼は、人を喰らう異形のモノ。
鬼は暗くなったら人を喰いに来るの。』




母さんはそういって消えた。









「母さん!!」


ひどい夢を見ていたカンジがする。

汗だくで、鼓動が早い。



「母さん、父さん、奈月…
俺は皆の分生きるから。」



蝶の髪留めで髪をまとめ、玄関でブーツを履き、刀を取って外へ出る。



今は真夜中だ。



鬼が活動する時間。




「今日は何匹食えるだろうか」




今日も森へ歩いていく

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Ro:A - 死音心音2.0さん» こちらこそ見ていただきありがとうございます! あっ、、、()すみません!すぐ訂正します!報告ありがとうございます!また誤字などあればすみませんが報告お願いします、、、 (2019年9月20日 4時) (レス) id: d0a449ebbf (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - いつも素敵なお話をありがとうございます!あの…しのぶさんは蝶柱ではなく、蟲柱ではなかったでしょうか…? (2019年9月19日 22時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)
Ro:A - 死音心音2.0さん» あぁあああああああッ!!!!!(汚い高音)ありがとうございます!応援ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月12日 19時) (レス) id: d0a449ebbf (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - とても面白い作品ですね!主人公ちゃんも魅力的で、素敵な子です。これから伸びていくことを願っています。これからも応援させていただきます! (2019年9月12日 14時) (レス) id: 2a5e77e557 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Ro:A | 作成日時:2019年8月19日 4時

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