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「名前、なんてゆうんー?」
わかってた。
記憶喪失、ってお義母さんから聞いててん。
せやから、わかってた。
でも、もしかしたら、
もしかしたら、わたしのことは
彼女のことくらいは、覚えててくれてるかもしれへん。
そんな淡い期待抱いてたから、
名前聞かれたの、ちょっと、
いや、結構、相当、ショックで
また視界が霞む。
望にバレないようにグッと涙を我慢した。
「…どうしてん?」
「ほんまに、わたしのこと、わからへんの?」
「…え?」
「…あ、いや、ちゃう、気にせんといて、
えっと、栗山Aです、よろしくね。」
「Aちゃんかあ、ええ名前やな、!」
「…っ!」
ああ、望、出会った頃と
なーんも変わってないねんな、
今度こそ、我慢できなかった。
涙がポロポロ出てきて、
「え、ちょ、なんで泣くねん!
名前褒められたん気色悪ったか?
ごめんな、ちょ、どうしたらええねん!」
「ふふ、」
今はわたしのこと覚えてへんけど、
絶対大丈夫や、
望なら思い出してくれる
根拠もなくそう思った。
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作者名:みやび | 作成日時:2017年8月13日 19時