それと、愛 ページ37
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抱きしめあっておよそ5分。
『あのー…イル兄?流石に抱きしめすぎじゃ…』
「まだ」
少し涙声なのを聞いて、あぁ、顔を見られなくないんだなと瞬時に察する。
昔からそうだ。兄は私がなにか危ないことをするとすぐに抱きしめ、生きていたことへの安堵から涙を零す。
私のこととなると涙もろくなる暗殺者の兄が、この上なく愛おしい。
やっとのことで顔を上げた兄に、私は表情を崩した。
『久しぶり、イル兄』
「あぁ…。久しぶり、A。さっきの、大丈夫?」
私の首を指でつーっと撫でながら、心配した目を向ける兄に、くすぐったいなと言いながら大丈夫だよと返す。
「ほんとにごめん…」
『いーよ笑 てか、なんでイル兄は私だって分かったの?もしかしたら違う人かも知れないのに…』
「俺をイル兄なんて呼べる命知らずいない。それと、愛」
『え、キモ』
愛という言葉が一番似合わない目の前の兄に、思わず笑いが零れる。
イル兄が私の髪を撫でて虚ろ気な視線を寄越した。
「なんでこんな短いの」
『あー…切ったから?』
「そ。似合ってるけど、ちょっと勿体ない」
誰かに切られたのかと思ったよ。
そう言う兄から溢れるオーラは、髪の毛が逆立つほど禍々しいもので。
私は慌てて扉を指さした。
『ほ、ほら!早く先進もう?』
「そうだね、行こう」
意外にも呆気なく収まった兄のオーラに、私はホッとする。
兄とともに、暗い扉の中に入っていった。
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メロンパン18号 - 好感度系の作品をH×Hでやってくれるなんて…主様ありがとうございます!読ませていただきます! (2023年4月3日 14時) (レス) @page39 id: fd8275b1aa (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - もさん» まじですかありがとうございます!!!! (2023年3月22日 15時) (レス) id: 57f453a332 (このIDを非表示/違反報告)
も(プロフ) - 最高…! (2023年3月22日 10時) (レス) @page40 id: f3ac1f4c1b (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - ぽちゃ子さん» うわぁ!嬉しいです!!!ありがとうございます!!!頑張りますね!!! (2023年3月22日 8時) (レス) id: 57f453a332 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ子(プロフ) - 文章が読みやすくて内容がスルスルと頭に入ってきました!!頑張ってください!! (2023年3月21日 22時) (レス) @page33 id: a18afddbb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふぃあろ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uekukz/
作成日時:2023年3月18日 20時