2 ページ3
*
あの後どうにか日誌を書き終えた俺は本部にログを見るために向かった。
今日は二宮隊は非番なため誰もいない隊室で一人太刀川隊のログを見る。
そこに映ってた彼女は同じ射手の出水に引けを取らない存在感を放っていた。出水の大きいトリオンキューブの隣で、比較的小さめのキラキラしたトリオンキューブを周りに纏っている彼女はとても綺麗だった。まるで宝石みたいだ、と思った。出水の火力で派手に追い込んだ後、彼女が相手に当て確実に仕留める戦法だった。相手を見据える横顔には必ず当てるという意思が見え、かっこいいとも思った。
そして、俺はログで初めて彼女の顔をハッキリ見た。綺麗な黒髪に吸い込まれるような紫色の瞳。誰が見ても彼女は美人だと言うだろう。太刀川隊の黒のロングコートもスラっとした彼女によく似合っていた。
彼女の繰り出す技も一つ一つが丁寧で綺麗で、出水の流星群のような威力の通常弾はとても目を引くが、彼女の放つ通常弾はキラキラして綺麗に見えて、目が離せなくなっていた。
気づいたら持ってきたログを全て見ていた上に彼女に釘付けになっていた。それに画面越しだと何故か彼女を見ることが出来ることがわかった。せっかくだし違うのも見ようと思い隊室を見ると、同じ隊の犬飼先輩とばったり出くわした。
｢あれ？辻ちゃん？｣
｢犬飼先輩お疲れ様です。
今日は非番のはずですが何故本部に？｣
｢ソロランク戦してポイント貯めようかな〜と思って来てみたんだけど……。
辻ちゃんどこのログ見てんの？俺も見るー｣
｢あ、太刀川隊です…｣
｢ん？太刀川隊？なんで？｣
｢いや…、なんでも…｣
俺がそう答えると犬飼先輩はにやぁと面白いものを見つけたかのような顔をして笑った。
｢辻ちゃんと太刀川隊の射手の子、霧生ちゃんだっけ？同じ学校だもんねー｣
それにしてもあの辻ちゃんがねー、ほんとめずらしーってニヤニヤ笑ってる犬飼先輩に軽くイラつきながらも別のログを求め、無視して本部の廊下を進む。
｢ってか、辻ちゃんログだと女の子見れるんだーへぇ〜｣
｢あの、邪魔するならランク戦行ってください｣
｢まぁ、霧生ちゃんの那須さんに負けないくらい綺麗だもんなー、辻ちゃんが気になっちゃうのもしょーがないよね。霧生ちゃん勧誘合戦も合ったみたいだし？｣
｢そうなんですか｣
思わず犬飼先輩の話に乗ってしまった。後悔したが遅い、犬飼先輩の話を聞く限り、彼女は俺が知らなかっただけで結構有名人みたいだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 54人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
羽憐(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです！！辻ちゃん可愛い…！！続き楽しみにしてます！！ (2019年6月5日 23時) (
レス) id: dc480b39e0 (このIDを非表示/違反報告)
沖島(プロフ) - 2話の比喩表現がとても綺麗で辻くんの瞳から見える光景はどんなに綺麗に見えるのかと一言考え込んでは唸りそうになりました。今後ライバルになりそうな出水くんとのやり取りや夢主と普通に話せる関係に至るまでの流れが気になります……！ (2019年4月1日 18時) (レス) id: 2fdfab8df6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ふらいどぽてと。 | 作成日時：2019年3月31日 2時
