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中『…』
思っていた痛みは一切来なかった。
それどころか、俺は優しく包み込まれる感覚に思わず目を開けると伊野ちゃんのふわふわした茶色い髪の毛が目に映った。
伊「…ゆーとのバカ。」
中『うん…』
優しく抱きしめてくれる伊野ちゃんを振りほどくことなんて簡単なはずなのに、なにが起きているのか理解するのが難しくて身体が動かなくなった。
俺の肩に顔を埋めている伊野ちゃんの表情までは分からないが辛そうな声を聞くだけで俺も苦しくて胸がいっぱいになった。
伊「女の子紹介するなんて言ってごめん。」
中『うん』
伊「彼女の話してごめん。」
中『…うん』
伊「キライなんて言ってごめん…」
中『うん、…大丈夫。』
伊野ちゃんはずっと謝っていた。
あの時のことを気にしてくれていたんだと考えただけで、あまりにも嬉しくて伊野ちゃんが可愛くて、俺はそっと伊野ちゃんの背中に手を回した。
手を回した瞬間、伊野ちゃんは少しだけビクリと身体を震わせたが、俺は気にせずそのまま手に力を入れた。
伊「俺からキス、したんだぞ…」
中『うん…すごく嬉しかったよ。』
嬉しかった。もちろん今でも嬉しい。
その言葉を口にした瞬間、伊野ちゃんはさらに俺をきつく抱きしめてくれた。
伊「気づけよ、…ゆーとのバカ。」
中『なにそれ(笑)』
伊「あんなに怒んなくてもいいじゃん…、ゆーとが近くにいてくれないと俺はイヤなの。」
伊野ちゃんの声、体温、心臓の音が俺の身体中を幸せな気持ちで満たしていって泣きそうになった。
中『俺、近くにいていいの?』
伊「ずっと隣にいてくれなきゃイヤ。」
中『なにそれ、伊野ちゃんめっちゃ可愛い。』
こんなに可愛いことを言ってくれる伊野ちゃんの顔がどうしても見たくなった。
俺は伊野ちゃんを自分の肩からゆっくり離して覗き込むと伊野ちゃんは目を赤くして、俺のことを見つめてきた。
伊「…ゆーと、大好きだよ。」
10年以上、想い続けていた人が俺の腕の中にいて、そして好きと言ってくれるなんて嬉しくないわけがない。
中『俺も伊野ちゃんのこと、大好きだよ。』
俺はそう言って、伊野ちゃんの唇に自分の唇を重ねた。
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ゆっけ(プロフ) - ひよりさん» コメントありがとうございます。今回も最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。ひよりさんのことはもちろん忘れてません。次回も頑張って作品をアップ出来るよう頑張ります! (2017年6月15日 23時) (レス) id: 1a8d39f2fe (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - 完結、おめでとうございます! (さぼてんの種です。覚えてらっしゃいますかね?) ゆといの、優しくてちょっとだけ切なくて、とても良い話だと思いました!! 新作も、ぜひ読ませていただきます!! (2017年6月15日 18時) (レス) id: d54ba546c9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - れいらさん» 混乱しちゃいました。裕翔くんのセリフですね…。 (2017年5月24日 23時) (レス) id: 1a8d39f2fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆっけ(プロフ) - れいらさん、コメントありがとうございます!伊野尾くんのセリフです。すぐ直します。教えてくださってありがとうございました! (2017年5月24日 21時) (レス) id: 1a8d39f2fe (このIDを非表示/違反報告)
れいら(プロフ) - えっと、最後の伊野尾君のセリフが、本当は裕翔君のセリフなんじゃないかと、、、違ってたらごめんなさい!! (2017年5月24日 21時) (レス) id: a0828b3426 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆっけ | 作成日時:2017年4月8日 1時