Look at only me【ytin】

38.side daiki ページ38

side daiki



俺は正直、伊野ちゃんと仲が良いと思っている。


プライベートも一緒ってほど山田や圭人たちみたいな仲ではないけれど、一緒にふざけたり、イタズラし合ったりするこの関係性が大好きだった。





有『はぁっ！？部屋割りを変えて欲しい？！』


俺は今、伊野ちゃんからの電話に驚いていた。何故なら急に俺と同じ部屋が良いと言うから。


有『ど、…どうしたの？俺が決めた部屋割り、嫌だった？』


俺がこの間、ゆーとと同じ部屋なことを伝えた時は何も言っていなかったのに。


寧ろそのことを伝えた時は、伊野ちゃんは誰でも良いという感じで返事をした上に、コーヒーとコーラのミックスジュースを作り出したのだ。その後はゆーとも登場してきてしまい、これ以上何も聞けなくて俺はずっと悶々としていた。


伊(俺、大ちゃんと同じ部屋がいい。ダメ？)


有『だっ…ダメじゃないけど…ゆーとと何かあったの？』


伊(…)


有『聞こえてる？』


伊(…何もない。)


有『…。』


突然部屋を変えて欲しいと言いつつも、理由を一切教えてくれない伊野ちゃんに俺はなんて言っていいのか分からない。


伊(お願い、大ちゃん…。)


俺に助けを求める伊野ちゃんの声は本当に辛そうだった。


有『えー…うーん、圭人に相談してみる。だけど伊野ちゃん、１つだけ教えてくれる？』


伊(いや。)


俺の質問に被さるように拒否をしてきた伊野ちゃん。


俺と同じ部屋が良いと言われ悪い気はしない。けれど頑なに理由を教えてくれない伊野ちゃんに俺はすぐにイエスとは言えなかった。


2人の関係は何？
伊野ちゃんとゆーとが幸せなら俺は陰ながら応援しようと思っているのに。


ダンスレッスンでゆーとと何かあったのだろうか。そういえば、今日の伊野ちゃん元気なかったかもしれない。いつもボーッとしているから疲れているんだろうと勝手に思っていた。


何で全然気づけなかったのだろうか。鈍感な自分に腹が立ってしまう。




有『ねぇ、俺は伊野ちゃんの力になってあげることは出来ないのかな？』





.

39.side daiki→←37.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す