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葉月と別れた後、高専に戻ったA。
「おかえりA」
『ただいま、悟くん』
「もう居眠りした後どこ行ってたのー?歌姫ん所へは元々3人だけだったから良いけど、僕には一言何か言ってもらわないと」
ぴったり、1分の沈黙。
『悟くん、私全部思い出したよ。あの日の事、自分で消した記憶全部』
そっか、と呟き流れるように優しく抱きしめてくれた。
「Aは悪くないよ、大丈夫。僕がいるからね、それに悠仁に恵、野薔薇、真希や棘、可愛いパンダだっているんだから。Aは独りじゃないよ。それにAはとーっても良い子だから」
ずっと背中を摩って、途切れること無く延々と褒めたり慰めたり。
『うん、分かってる....わかってる、から』
「こーら。僕の前では強がらないの」
Aの唇に人差し指を押し当てて、首を横に振った五条。相変わらず、彼女に対しては甘々だ。
「彼氏なんだから、特別扱いして欲しいな」
その言葉には、彼氏の前だけ見せる素顔を見せて欲しいと言う五条の願いが込められていた。
『.....ずるいよ、その言い方』
「まあね」
2人を包み込む、赤い暖かい空気を一生忘れることは無いだろう。
「アンタその目どうしたのよ」
『寝不足?』
「何で疑問形、それに寝不足はクマでしょ。」
『あ、花粉症かもしれん』
「あ、コラはぐらかすな!」
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作者名:ルナ | 作成日時:2023年8月22日 2時