・ ページ39
.
「っそんなこ『だって！！』」
『だって.......私も、そう思っちゃったんだもん』
「っ.......」
『私が1番、Aを信じなきゃいけないのに.......ごめん。私行かないと』
「はあ！？こんな時に何処行く気だよ！！？」
『私は家族失格だから、さ』
そう言って、逃げるように去って行った。
「(何考えてやがんだ、あいつ。)」
荒ぶる心を抑える為か、今ではすっかり泣き止んだAを見つめる。
「悟？その血は、何があったんだ？...あの子は？確か、泊まりがけで妹に会いに行くんじゃなかったのか？」
「......傑か。」
「この子、凄い血じゃないか。....これじゃ状況が分からない。悟、話してくれ」
「....ああ───…」
悟は、出来るだけ平常心を保って、先程の出来事を語った。
「───…そうか。」
「追いかける気力が無かったっつーか、俺が介入していいか分かんねぇんだよ」
「なるほど。それは悟らしくないな」
「うるせぇ」
傑と話して、少し何時もの調子を取り戻したようだった。
「.....正直、吐きそーだわ。でも、アイツはその何倍もの気持ち悪さを感じてんだろうな。感じた上で、受け入れた」
「そうかもしれないね。人は皆弱いものだ、だからこそ互いを知り、互いを受け入れる。今回の事は、あの子にとって間違いなく生涯残る傷になるだろう。」
「残り続ける傷はどうしたって、残り続けるもんだろ」
「悟、私が言いたいのはそこじゃない。私が言いたいのは、傷の重みだ。どうしようもない傷は確実に存在するただ、軽くすることは不可能じゃないんだ」
「お前に言われる前に行っとけば良かったかもな」
「おや、私の助言を今か今かと待ち望んでいたのは何処の誰だったかな」
「さー？......A、お姉ちゃん引っ捕まえて帰ってくるからもうちょっと待ってろよ。次は、俺が守ってやるから」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 178人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルナ | 作成日時：2023年8月22日 2時
