存在しない、忘れた過去 ページ19
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「まず、如月家ですね。」
『如月...家...？』
女性から聞いた話はこうだった。
如月家はそこそこ栄えていた呪術師の家系。相伝の術式も存在し、Aの両親は分家であったがしっかり受け継がれているそうだった。
そして規律を重んじる家系であり、禅院家ほどでは無いが、常時不穏な雰囲気だった。
そんなある年、姉が生まれた。
姉は呪術師として恵まれていたらしい。単純に強かったのだと。
そんな姉を本家は、何より当主が見逃さなかった。
それに気付いた両親は、逃げるように本家から姉を遠ざけた。幸いにも両親は、規律だ相伝だのにはうんざりしていたらしい。
それが、当主の思う壷だとも知らずに。
京都の本家から離れ、埼玉まで来た両親達は幸せに暮らし、少しの時が経ってAが生まれた。
だが、その好奇を見逃さなかった。
Aが産まれた瞬間、両親は殺された。本家の人間によって。
そして、赤子の妹1人を抱え何も出来ない姉へと漬け込んだ。もし、姉1人だけだったら逃げることが出来たのかもしれない。
2人が本家に拾われてから2年、姉が来年高校生になる年。
このまま、本家の人間として呪術師人生を終えるのだと諦めていた。
だが、家の中で1人だけ、姉が慕っていた人物が居た。その女性は、姉に高専で呪術師として歩む気はないかと提示した。
姉は迷った。でも、せめて呪術師で良かったと思える人生にしたいと言った。
それを聞いた女性は、2人を東京校へと逃がした。
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作者名：ルナ | 作成日時：2023年8月22日 2時
