汚れつちまつたシズク【中原中也】【文スト】 (ページ5)

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数分後、女性と少年の二人組が奥から出てきた。

中也「おいおい...たった二人かよ」

与謝野「おや...彼女は何処へやったんだい？」

『え、私？！』

中也「戦闘になった時の保険でな」

万が一に備え、Aは中也の能力で天井に移動していた。

与謝野「戦闘ね...けどアンタは暴れに来たんじゃない、だろ？」

中也「何故判る...？」

与謝野は中也がここに来た理由は戦闘でない事を見抜き、本来の理由である【餌】の話を社長に監視映像越しで伝えた。

しかし、万に一つの可能性として中也との戦闘を臨んだ探偵社。

中也「さあ...重力と戦いてえ奴は何方だァ？」

『(格好つけてるな...正座してお茶啜りたい気分。然し森さんも非道だな、探偵社の事務員を餌にするなんて。)』

中也「穴だと判っていても探偵社は落ちずにはいられねえ...首領の言葉だ。帰るぞA」

『...え、うわ゛ぢょっと！！』

中也「...よっ。手前ちと太ったんじゃねえか？」

急に重力操作が解除され、垂直に落ちるAを姫抱きで受け止めた。

『...中也に重さを感じる瞬間があるなんて初耳だわ』

中也「生憎、異能力者は異能力を使わねえと唯の人間なんでな。」

其んな事、異能力者であるAも周知の事実だが、言い返さずには居られないのが中原中也と云う男なのだ。

『あっそ...てか重いなら早く降ろしてよ！』

中也「ガキは大人しく抱かれてろ。どうせ此の後、姐さんの所にでも行くつもりだったんだろうが、其んな勝手はマフィア幹部として許せねえんだよ」

『何故バレてる...』

中也「其ん位、十年一緒に居りゃ嫌でも判んだよタコ」

『...私ポートマフィアじゃないもん』

中也「其んな屁理屈は通用しねえんだよ、大人は。」

中也の彼女でもないし...。と呟くがその声は誰にも届かない侭、音を失った。

与謝野が云った彼女(・・)とは恋人では無く、A自体を表す言葉だったのだが、勘違いをして独り恥ずかしく思っている思春期女児なのだった。