大嫌いだったはずの彼【半間修二】

Part３２　初めて見る彼 ページ33

バツが悪そうに目線を逸らす半間くん。




“…悪かったよ”



さっき彼はそう言った。



あの半間くんが…？


悪いと思って私に謝ったの…？







「…泣くなよ、だりぃ」

『んっ…』






そう言いながら私の頬を優しく拭ってくれる半間くん。



ダルいと言いながらも触れられた指が優しくて、先程までの怖いと言う感情は無くなっていた。







「…昨日みてぇに嫉妬して泣いてるお前見んのは良かったけど、今みてぇに泣いてんのは全然興奮しねー」

『…っ』

「あー…マジで何だよこれ…気持ち悪ぃ」







そう言って頭をガシガシとかいた半間くん。


いつものヘラヘラした彼じゃない。


本当に自分でもどうしたらいいか分からなくて困ってるんだ。







『…わ、私は…半間くんのこと…好きじゃない』

「……」

『…でも半間くんの言う通り…私は貴方に惹かれてるんだと…自分でも思う』

「…！」







何言ってんの私…



そう思うけど、、、




いつもヘラヘラして掴めない彼が、泣いてる私を見てどうすればいいか分からず困っている姿が何だか可愛いと思ってしまった。







『さっきも言ったけど…私は好きな人じゃなきゃ嫌…』

「…わーったよ……悪かった」

『〜ッ』







そのままギュッと抱きしめられて、胸が締め付けられるくらいにドキドキしてしまった。



こうやって触れ合うのも、好きな人じゃなきゃ嫌なはずなのに、こんなにもドキドキしてしまうなんて…




ほとんど彼に落ちているようなもんじゃ…



そう思ったけど、自分の気持ちがハッキリと分かるまではまだ気付かないフリをしておこうと思った。

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