episode33 ページ33
そうか......そうか。全部理解した。
「あの時」のように。
ポケットに手を入れると、
コツリとした感触が手に伝わってきた。
フェージャから貰った、懐中時計だった。
この時計は記憶が無くなっていても、
手放す事はなかった。
否、手放せなかったのだ。
何となく。手放してはいけない物のような気が
していた。
それが何故なのか、漸く判った。
ふふ、と私は小さく笑む。
冷静だった。
普段は中々使いにくい私の異能力。
たまには羽目を外してもいいだろう？
私の躰を光が包む。「来て、『未成年』」
自分の口から出た声は、
相応しい冷たさを孕んでいた。
こんな事をしてもあの子は生き返らない。
だからこれは......私のエゴだ。
この真実が誤魔化された場所からの脱出だ。
病院とは、異能力研究施設の事。
病気とは、異能力の事。
患者とは、異能力者であり、被験者の事。
先生とは、研究者の事。
健康チェックは異能力の経過観察。
異能者を逃がさない為、外には出られない。
夜にぐっすり眠れるのは、睡眠
散布されるから。
勘が良かったのはあの子。
0209は私。
あの子と仲が良かったのも私。
記憶を消されたのも、私だ。
私の異能力は、使いすぎると記憶が消える。
消えるかは、実際に起きてみないと判らない。
つまり、数分の記憶が消える事も
あれば、数年の記憶が消える事もある訳だ。
恐らく、あの時私は、異能力を暴発させられた。
結果、この施設に何年も居るハメに
なってしまった。
記憶が戻ったのは、皮肉な事にあの子の死体を
見たショックのお陰だ。
記憶が消えるというのは、死と同じ。
こう思ったのは前の私。全くその通りだろう。
だから私は今日、二回目の死を迎える事と
なるんだ。
研究者達は紅い花を咲かせ、絶命していく。
殺戮の、始まりだ。
ラッキー文スト登場人物
フョードル·ドストエフスキー
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病乃 - この作品読者を殺そうとしてますよね？違うとは言わせません← お話を読みながら「ううん？」となりながら読んでたんですけど三つのまとまりになっていて、しかも細かいところまで作り込まれているとは…本当に神作です…もうミオさんに弟子入りしたいです() (1月4日 17時) (
レス) @page50 id: 30fcc31024 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - riiaさん» お褒めの言葉、ありがとうございます！とても嬉しいです！ドス君推し増えてほしいですね〜！ (2022年8月23日 19時) (レス) id: 53eec8317a (このIDを非表示/違反報告)
riia - 好きです｡(ドスくん推しの私からしてみれば最高で仕方がないです！) (2022年8月15日 11時) (レス) @page46 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミオ(プロフ) - 黒猫さん» うわわ……たくさんお褒めの言葉を頂けて嬉しいです！ありがとうございます！ (2022年5月19日 20時) (レス) id: c2e405e64a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - えぇぇ...まって、神小説見つけたんだが。ドス君推しの私としてはもう昇天するくらい嬉しい。しかもちゃんと作り込まれてる。作者様天才じゃん。脳味噌わけt(((殴 (2022年5月18日 15時) (レス) @page50 id: 5343ec8b93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミオ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/userid10262/
作成日時：2019年11月9日 18時
