今日の事 ページ42
知り合いがテレビに出ていた。二年前クラスが同じだった彼女。
一切喋る事がなかった訳でもないが、友達というわけでもなかった彼女が。
彼女はアスリート選手として紹介されていた
小さい頃から始めたというその競技。そういえば作文集でも何か書いてあった気がする。
つい最近海外に行った事を人づてに聞いていた。凄いとは思っていた。だがテレビに出るほどまでとは思わなかった。
アナウンサーが彼女の名前に選手を付けて呼んでいる。
胃の底からぐわりと熱い物がこみ上げてくる
毎日三時間。学業と練習を兼ねて彼女は生きている。
彼女は湧き出るエネルギーを余すこと無く注ぎ込んでいる。
躊躇することも出し惜しむことも無く、燃やしている
私は、どうだろうか
彼女は今を生きている。
私のような者は、本当に生きていると言えるのだろうか
こんな、勉強をしたくないだの、些細な仕事を引き受けたく無いだの、しょうもないことに身を削り挙げ句の果てに身にもならない掲示板のまとめを見ている私は、彼女と同じ人間なのか
毎日三時間、三時間を何に使うかで、人はこうも変わるのか
同年代、同じ性別、同じ学校
・
・
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ふと私は思う
今からでも人は変えられるのか?
三時間の使い方で人は変われるらしい。ならば今でも私は変われるチャンスがあるというのか。
彼女は希望である。若手のホープである。あの業界にとっても、そして、私達にとっても。
見方を変えれば良い。才能と切り離すのではなく希望の象徴と
そう彼女は、希望
私と、あの子は、同じ人間。違うのは何をし続けているのか
彼女がそこで頑張るのなら、私という人間は私の分野で頑張ればいい。
彼女は証明した。昇ることが出来るのだ。上へ上へ、それは特殊な分野かもしれないが、物事というのは根本から見れば全て同じなのだ
何を頑張ってもいい、ただ三時間有意義に使えば、いつかそれは極めることができる
今すぐ私はパソコンを閉じる。
明日の朝、きっと彼女はネタにされるのだろう。あの子にとって私はほぼ他人のようなものだが、一目見た瞬間に私もからかってやろう
そして私は、心の中で感謝をする
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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/
作成日時:2015年3月7日 8時