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手紙と選択 ページ36

机の引き出しは、別の世界の私に繋がっている
と言っても引き出しとして機能していないというわけではない。大切な物はちゃんと残る

ある日自棄になって手紙を出したのはいつだったか。酷く、怒られた日だった気がする。
子供の頃、パラレルワールドを知って、ああ別の私が居るのだなと思った日でもあった

別の世界は無限に広がっている。ならば完璧で、理知的で、酷く合理的な方法を取り
もちろん怒られることの無い私が居るはずだ。理論的には



手紙が、返ってきた。金曜日、例の国民的アニメの影響を受けて引き出しに寝かせて置いた物が。

好きじゃない”友達”とお揃いではない、”好きな”柄の封筒が、変わっていた。
家には置いてない柄だった。蝋封、高そうな封筒。筆記体。万年筆の字

酷く几帳面に拝啓だの時候の挨拶などが書かれていた。そして別の世界の私に当てる言葉が

私の汚い字とは違って神経質そうな、触れると崩れそうな字をしていた

何やかんやで文通が始まった。向こうさんも、別の世界について気にしていたらしい


わからない数学の問題、好きな人、好きな食べ物、細かな世界の違い、交友関係などを、私達は赤裸々に明かしていった。何せ文通しているのは自分なのだ。プライバシーも何もない

ちなみに向こうさんの私は男で、高校生だった。こんな違いも、あるのだな

ともかく、メキメキと私は成績があがり、人に見せるために字が綺麗になっていったり
運が回ってきた気がした




向こうの私が、大学に落ちた
名門、有数。向こうさんの親に行けと言われ続け愚痴っている事を知っている
相当なかんしゃく持ちに生まれてしまったせいか、向こうさんはもうすぐ死のうとしていた

何故? あんなに教え方が良かったのに。
学年トップ、自信満々という模試の点数の写真を送られてきたこともあったのに

何故? 向こうさんは、合理的で、完璧で、理知的では、なかったのか




最期にはこう書かれていた

”平行世界の貴方へ”

”これが選択肢というものだ。これが、人生だ”

”平行世界ならわかる。反面教師とするように”



私は、何が私を決めるのだろうか
性別? 環境? 意識?

答えは多分、自分が無数にしている”選択”だろう

選択の末が、この、手紙だった

”私”は、選択で死んだ。選択に殺されたようなものだ

せめて、この手紙が”私”にとって、勉強よりマシな物であったことを祈りたかった


以来私は、始終考えて、選択肢し続ける決意をした

夏なので→←えをかくおとなとこども



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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/  
作成日時:2015年3月7日 8時

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