えをかくおとなとこども ページ35
「なにかいてるの?」
「シーッ、大声を出したら駄目だよ」
カーテンの閉められた書斎。静かなそこに居たのは、おもちゃを持ち込んで遊んでいた子供と
ペンの音を響かせる大人
大人の手元には、まだ何を描いているのかよくわからない線が引いてある
子供は遊びに飽きて大人の事を興味深く見ていた
「どうして?」
「今僕はね、魔法をかけているのさ」
「まほう?」
「そう」
やがて、線は面となり、面は形となって明確に姿を浮き出していく
「目を瞑って」
子供はよくわからないまま言いつけ通りに目を瞑った
「さん、に、いち。さあ、動き出すんだ」
子供を、とても温かな空気が包み込んだ
思わず目を開けると、そこには夜空が広がっていた
星の瞬く、暗く、黒く、どこまでも広がる夜の闇と
浮かび上がるのは天女のような美しい女の人
天女が子供を一つ撫でると、夢のような景色は終わった
「・・・・・・わあ」
子供の瞳は、先程の星よりもきらきら輝いていた
「おじさんは、まほうつかいだったんだね」
「まあ、そういうことになるね」
まほうつかい、と聞くと大人は困ったように笑った
「ねえおじさん、もっとまほうをみせてよ」
子供が机に乗り出さんばかりの勢いを見せる
だが大人は、それを拒否した
「魔法はね、おじさんたまにしか出来ないんだよ。今日は運が良かったんだ」
「なんだ・・・・・・」
「・・・・・・あのおんなのひとはなんていうの」
「名前は考えてないなあ。君が考えてよ」
「いいの? じゃあ______」
「とても美しい名前だね」
子供はいつまでもこの景色を思い出すだろう
いつまでもこの名前を覚えているだろう
「またあえるかな」
「同じ魔法は二回目も使えるかわかんないなあ」
「もうにどとあえないの?」
「描ければ、会えるよ」
「じゃあぼく、おじさんみたいなまほうつかいになるね」
「それがいいね」
こうして子供の夢が決まった
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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/
作成日時:2015年3月7日 8時