”先生”と”弟子” ページ30
あら、そこに居るのは先生ではないですか
奇遇ですね、どうしたんです? 私ですか? ああ、先生の塗りを盗もうと思って
へへ、難しいモノですね、塗りは。まあ、線画もラフも難しいですけど
コンクールお疲れ様です。金賞だったんですよね? さっすが先生、私の尊敬してる人です
あんなモノ思いつかないですよ、普通の人は。やっぱり天才だ
・・・・・・もうこんな事やめよう? 先生らしからぬ発言ですね
B型の、絵以外はどうでもいいとおっしゃる先生が
・・・・・・ああ、先生呼びは嫌だったんでしたね。同じ年なのにって?
敬語は私の癖なんですよ。嘘だって? ええ、嘘ですけど
・・・・・・それで? 何の話をしていたんでしたっけ? ああ、こんな事やめようでしたっけ
どうしてです? 最初にやろうと言い始めたのは先生ではありませんか
あんなに苦しむくらいなら、あのコンクールは見送れば良かったではないですか。
ふふっ、気分の乗らない時は絶対描きたくないとおっしゃっていた先生が
あんなに苦しんで絞りだそうとする姿は始めて見ましたよ。ふふっ、いい気味です
しかし発想も天才的ですね、まさか、先生に尤も近い私に、描かせることを、委託させるなんて!
ゴーストライターならぬゴーストドロワーですよ。ん? ドロワーで合ってるのかな?
他人の手で自分のような絵を描かせて、しかも、名前は先生一人だけ!
決して嫌ではないですよ? でなきゃあんなに快諾するわけないじゃないですか
だって、先生の絵の一部にされるなんて、とても・・・・・・嗚呼、陳腐な言葉しか出ませんね
光栄ですよ。うーん、絵描きじゃ無くて文章書きに転職しようかな? なんて、失礼
狂ってる? お前はそれでいいのか? ええ、先生、貴方のお陰で私はここまで来れたんですよ
先生が居なければ、こんなに、美しい絵も描くことが出来ませんでした
言うなれば感謝というか、前々からの欲望というか、えへへ、そういうことですよ
ね、だからやめるなんてやめましょう? 大丈夫ですよ、いざとなれば先生のスケッチブックを漁って、良い感じの構図と構図を組み合わせて別の物にする事は出来ますよ。
例え先生が死んでも、描けなくなったとしても、先生は生き続けられるんですよ
さあ次はどのコンクールを荒らします? そういえば一組の女の子が個人で出すみたいですね
ここで才能の芽を潰した方が、金を取れる確率もさらに上がるんじゃ無いんですか?
やめろ? 先生、ご冗談を
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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/
作成日時:2015年3月7日 8時