【お題型だったり】リハビリテーション『短編集』 (ページ3)

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いろのないせかい、実体の無い誰かページ3

朝、灰色に纏めた部屋の中で起き上がる

眠気と戦いながら階段を降りる

「おはよう、今日も良い天気ね」

「そうだね」

母親に朝食にするよう促され席に座る
窓の外は良い具合の曇天だった。一部分がとても眩しいが

朝食は目玉焼きと味噌汁か、真ん中に穴を開けて醤油を入れてかき混ぜる。今日も半熟

「いってきます」

灰色のスクールバックを持って今日も学校に登校
アスファルトを見ながら歩いた

途中交差点。最近事故があったらしい。怖いなちゃんと下に明滅しているのを見て渡る

「危ないよ！」

うわっ、突然腕を引っ張られる。目の前にはものすごい勢いでトラックが突っ込んでいった

「君、大丈夫！？何か悩みでもあるの！？とにかく死んじゃ駄目だよ！」

早口で男性がまくし立てる。別に全然自害しようとか抱えきれない悩みがあるわけでも･･･

って、ああ、何だ。あの灰色具合は”あかいろ”だったのか。暗くてよく見えなかった

「いえ、すみません。大丈夫です、よく見てなかったもので･･･」

「え、ああ･･･なんだ･･････良かった･･･」

他人なのにこんなに喜んでる人を見るのは始めてなような気がする
まあ、目の前で人が死なれたらそりゃ後味悪いね

「あ、もう行かないと学校に遅刻しちゃいますので･･･それでは」

「うん、次から気を付けるんだよ？」

今度こそ、ちゃんと他の人が渡っているのを見て横断歩道を渡った

･･････そういえばあの人、他の人には無い灰色でも無いオーラを纏っていた気がする
それに自分も低体温気味で気付かなかったが
掴まれたところが他の部位より冷たかったような･･････気のせいか

いろのないせかい