モブと貴方の違い ページ17
きらきらと目映いあの子。いつもいつも人が集まっている
運動神経が良くて、勉強も出来る。愛嬌も良いし媚びているわけでもない
面倒見も良い。それを鼻に掛けている様子も無い
完璧だった、完全無欠だ。誰しもがそう思うだろう
私も、あの日まではそうだった
裏庭、たまには体を動かそうと翻弄してたとき、彼女と出会った
しゃがんで、土を見ていたから、雑草にも博愛の心を注いでいたのかと思った
何となく話しかけやすかったので近づいてみると、ぎょっとした
彼女がボロボロと泣いていたのだ
「え、と、どうしたの、です・・・・・・か」
最初に出てきた言葉がそれだった。余談だが私は彼女と話したことは無い
振り返った顔は、涙でぐちゃぐちゃで、明るそうな目なんか、もう真っ赤だった
「・・・あ・・・、あ、・・・・たすけて・・・」
がばりと、縋り付くように抱きつかれる
人を惹きつけた声は、今や哀れなヒトの声だった
「・・・・・・大丈夫です、人は来ません」
ぽすぽすと背中を撫でる
温かい、そうだこの子も人間だったんだなと、始めて自覚した
彼女は溜めていた物を解放するようにわんわん泣いた
・
「気は済みましたか?」
「うん・・・・・・ごめんね、手間掛けさせちゃって・・・・・・えっと」
「無理に名前を思い出そうとしなくていいですよ。私、貴方に少しも関わっていないので」
「・・・・・・ごめんね」 「いえ」
ハンカチを取ろうと思ったら、彼女の方が先に出していた
「何かあったんですか」
どんよりと、目の光が濁った。地雷を踏んでしまったか
「うん、そうだね・・・・・・えっと、何て話したら良いか、ね」
視線が明後日の方を向く。本格的な面倒事だ
思いついたように彼女から名前を聞かれた。私は正直に答えた
「__ちゃんか、うん、良いね。私、__ちゃんに生まれてみたかったかも」
そんな不可解な事を言われた
「ちょっと、疲れ溜まってただけで、そう、そうなの。うん」
「ストレス、溜め込みすぎじゃないですか?」
人が多ければ面倒は増える。一方通行の関係ならなおさらだろう
そういえば特定の人が彼女と一緒に居たかどうかの記憶が無い
「相談出来る人、居ないんですか」
しまった。余計なことを言ってしまった。地雷原を裸足で走ってる自覚しかない
「・・・・・・そういえばそうだね。あー、そうだ、約束があったんだ」
「サッカー部ですか? 家庭科のクッキーですか?」
「違うよ、先生の」
「そうですか」
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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/
作成日時:2015年3月7日 8時