血塗れのお姫様 ページ1
「やめろ!近づ」
その台詞は最後まで言い終わる前に銃声で絶たれた
「・・・・・・」
音の元凶である少女は無表情に、男が絶命するのを見ていた
男の足下が崩れ落ち、止めとばかりにナイフで急所を刺 すと、完全に呼吸音が消えた
それを見届けると、今まで背負ってきた物を下ろし、深く息を吐いて座り込んだ
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「これでやっと・・・お兄ちゃんの所に逝ける・・・・・・」
今まで長かった。目の前でコイツらに親を殺され
私が失敗をしたせいで最愛のお兄ちゃんに庇われて、唐突に家族を奪われた
平穏な幸福は終わりを告げて、敵を取るために私は技術を磨いた
慣れない肉を切る作業も、肉を撃つ感覚も、もう何とも思わなくなってしまったが
もう、これでいいのだ。
私はリュックの中の水を飲み干し、最後の仕上げをしようと立ち上がった
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くるくると、血溜まりの中で踊り続ける
足下には、男の死体と、取り巻きの無残な姿
少女はわざと踏みつけるように、回っていた
「やった、やったよお兄ちゃん、私、とうとう敵を・・・・・・とったよ」
辺りには灯油と鉄の匂いが合わさり、名状しがたい匂いが立ちこめていた
ぐちゃり、最後に頭を踏みつけると、少女はライターを擦った
そのまま近くに投げ捨てると、瞬く間に辺りは火の車になった
「お兄ちゃん、もしかしたら会えないかもしれないけど、だいすき」
カチリと頭に銃口を向ける
その顔に、後悔も未練も無かった
燃えさかる火の中で、発砲音が一つ
死体の中心で微笑む
(それはこの世で最も美しい笑みでした)
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作者名:4696パーカー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/102620014/
作成日時:2015年3月7日 8時