いつかのあの日2

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病気のことを誰かに話すのはドイツに来てから初めてで泣くのは我慢しようと思ってたのにまた勝手に涙が流れてくる

「…あ…つとくん？」

それに気が付いたのか篤人君に繋いでた手をほどかれて抱きしめられた


「…ごめんね、今日、私泣いてばっかだね。」


篤人「別にいいんじゃない？
それだけAさんの中で辛かったことなんでしょ？」

「…うん。」


抱きしめられてるから篤人くんの声が頭の上から聞こえてくる
どんな表情をしているかも怖くて見れない

篤人君の温もりは安心するけど今は怖い
篤人君もかわいそうって思うのかな、自分じゃなくてよかったって思うのかな


何てぐるぐる考えてしまう

篤人「Aさん…」

続きを聞くのが怖い
なんて言われるのかな…



篤人「…話してくれてありがと。
頑張ったんだね。
お疲れ様。」


そういって頭をなでてくれてせっかく涙が止まりそうだったのにまた溢れて来た


私はずっと誰かにこの言葉を言って欲しかったのかも知れない
かわいそうじゃなくて頑張ったねって。





それから篤人君は私が泣き止むまでずっと抱きしめたまま頭をなでてくれた
篤人君、私じゃなくて篤人君の方がお母さんだよとか思ったら少しおかしくなって笑いそうになった。
誠もきっと篤人君みたいに受け止めてくれるかな。
もしかしてなんでそんな大事なこと黙ってたんだって怒られるかな。


篤人君に話すのは勇気が必要だったけど言えてよかった
だってこんなにも心が軽い

かわいそうだと言われて確かに傷着いたけど、それでドイツに逃げてこなければ篤人くんには会えなかったと思うと私にとって必要な通過点だったのかも知れない。


「篤人くん」


篤人「ん？」


「ありがとう聞いてくれて。」


篤人「俺こそありがとう。大事なこと話してくれて。」


「…私ね、ドイツに逃げて来たのがどっかですごく負い目だったの。
自分で自分に負けた気がしてた。
かわいそうって言われたのがすごく自分の中でショックだったから私が病気だって知らないところに逃げちゃえって。
仲良い人がね、そんな時ドイツを紹介してくれて。
今の仕事も紹介してくれて。



…ドイツに逃げてこなかったら篤人くんにも会えなかったし結花にも会えなかった。
そう思わせてくれてありがとう」


篤人「さっきから俺もAさんもありがとうばっか(笑)
こちらこそドイツに逃げてきてくれてありがとうだよ。
Aさんのご飯がないと餓死しちゃう。」




「なにそれ(笑)」


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