いつかのあの日2

29.atsuto ページ31

atsto side.

「…病気は治ったの？」
寝たきりなわけじゃないし普通に歩いているし仕事もしてる。
見た目で分かるようなことじゃないかも知れないけどと思いながらもただ純粋に気になってAさんに聞いてみた


A「…ううん。
私の病気は治らないんだって。

あ、でも心配はいらないよ？
治ってはないけど症状は今は治まってるから。」


病気のことを詳しくきくとそれはどうやら同じ病気でも症状は4つ種類があるらしくて、Aさんはそのうちの3つの症状が出ているらしい
で、その1つだけ出てない症状ってのが失明なんだと俺にも分かりやすく説明をしてくれた


A「今、失明の症状は出てないけどもしかしていつかなるかもしれないしならないかも知れないってお医者さんに言われた。
まぁ、でも失明しなかっただけでもすごく良かったと思ってるの。
他の症状も別に今は出てないし自分で無理しないでストレスをためなければ大丈夫だから。
だって私普通に生活してるでしょ？笑
だからお医者さんに病名を言われた時も私はあ、そうなんだって普通に受け入れられて何とも思わなかったの。
別に日々に支障はないし今回は自分で気が付いてないうちに無理しすぎたからだったんだって。」

そう話してくれるAさんに俺は相槌を打ちながら静かに、聞き漏らさないように耳を澄ませる

A「だけどね、周りの人たちはそうは思ってくれなくて。
病気のことは親と少しの仲良い友達にだけ話したんだけどいつの間にかみんな知っててさ。笑
怖いよね、人のうわさって。
私は別に隠してたわけじゃないんだけどでも必要以上に心配もされたくなかったし、だから信用してる子たちにだけ話したつもりだったんだけどさ。



で、会うたび会うたびいろんな子に大丈夫？って聞かれて。
心配してくれるのはありがたいことなんだろうけど、私はすごくそれが嫌で。
病気のこと根ほり葉ほり聞いてくる人だっていたし。」

そこまで話すとAさんが息をのんだ
またAさんの手に力が入ったのが分かる


A「ある時ね、たまたま聞いちゃったの。
すごい仲良かった子たちが私の病気のこと話してるとこ。
かわいそうだねって、自分じゃなくてよかったねって。

それから嫌でもそういう話に敏感になっちゃってさ…
みんなが自分じゃなくてよかったって…

それがね…い、嫌でドイツにっ」



そこまで話すと我慢が出来なくなったのかAさんの目からまた涙がこぼれてきてて俺はそっと抱きしめた


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