いつかのあの日2

24.atsuto ページ26

atsuto side.


ジリリリリリリリリリ

「…？」

居ない？
そんな訳ないよね



夕方に練習が終わった後、窓のシャッターが下りていないことを確認してきているから留守にしてるわけではないと思う
車もあるし明かりだって漏れてるし。

何かあった？
そんな思いに駆られドアノブを回すと


「…開いてる。」

玄関入ると靴が1足脱ぎ捨てられるだけ
彼氏が知らない間に出来て事情中だなんていう嫌な可能性はとりあえず消え去った。


「Aさーん？」


玄関で読んでも反応がない

しょうがない…
「おじゃまします。」

返事をしないAさんが悪い



いつものように玄関を抜けリビングへの扉を開ける



「やっぱいんじゃん。」



俺の定位置のソファーの上でなぜか毛布にぐるぐるにくるまってる物体が目に入る


A「…入って良いなんて言ってない。」


「無視するAさんが悪い」

毛布の中からくぐもった声が聞こえてくる
とりあえず定位置には先客が居て寝転がれなさそうな為ソファーの前に座る

A「不法侵入…」


「電気ついてんのに居留守は無理があるよ(笑)」



うーとかあーとか毛布の中でうなっているけど一向に出てくる気配がなさそうなAさん。


「なんかあったの？」

いつものAさんらしくなくて少し気になる
そういえば昨日もご飯あんま食べてなかったな。

「…あれの日、辛いの？」


A「…あれじゃないし。」


「は？
昨日そうだって言ってたじゃん。」


A「篤人くんのばか」


意味わかんねー


「あー、はいはい。
もう馬鹿で良いです。
とりあえずその毛布の中から出なよAさん」


A「…。」

「…。」

無視ですか。

もうだめだ
我慢出来ない


A「うわ、ちょっと！
毛布取らないでよ!!」


「無視するAさんが悪いの！
…って、は？」


A「こっち見るな。」


無理やり毛布をはがして文句を言うAさんの顔を見ると多分これは泣いた後
目が赤いし少し腫れてる



様子は変だと思ってたけど泣いてるとは思わなかった


布団を俺にとられたからか次はソファーの背もたれに顔を埋める


「こっち向いて」

A「やだ。」

「なんかあったの？」

A「何にもない。」

「じゃあなんで泣いてるの？」

A「…生理。」

「それさっき自分で違うって言ったよね？」

A「…。」

「俺には言えない？」

A「…。」

無言で首を縦にふるAさんにそれ以上何も言えなくなった


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