いつかのあの日2

21.atsuto ページ23

atsuto side.


篤人「…。」

イライラする。

ユリアン『ウシー、今日もモテモテだな(笑)』

篤人『…集中出来ない。
あいつら黙らせて来てよ。』

ユリアン『ファンはもっと大事にしないと(笑)』



…応援してくれるのはありがたいけどマナーくらいは守って欲しい
練習中なのにキャーキャーうっせー。

『うっちーーーーーー！』

篤人「…。」


『きゃー！
ヤバい、今絶対に目があった!』

『えー、ずるい―！』

なんなんだ。
日本からわざわざこんなところまで来てくれるファンってのは本当に貴重だしありがたいのは分かってるけど。


こっちは怪我してて試合に出れないかもしれない大事な時なんだけど。
まだチームメイトと同じ練習メニューにだって参加出来てないのに。

篤人「あー、Aさんのご飯食べたい…」

ユリアン『なんて言ったの？』

篤人『何でもない。』


最近は2日に1回くらいのペースでAさんの家にお邪魔してたのもこの怪我のせいでしばらく間があいていた。
昨日久しぶりに食べたご飯美味しかったな…








『キャー――――！
ウッチー――!』

篤人「…。」


「あの、ずっとファンだったんです！」


篤人「…。」


「うっちーにサインしてもらったー！
ヤバいんだけど！！！」


篤人「…。」


ユリアン『やっぱりウシーは日本のベッカムだね(笑)』

篤人『…。』

ユリアン『痛いよ痛い！
悪かったって！
お願いだから蹴らないで！』

篤人『はぁ…』


練習後の日課であるサインや写真撮影の列にさっきのうるさかった日本人の女の子の集団
年齢は俺と同じくらいに見える
こんな寒い中ご苦労様ですとしか言いようがないな。



そのまま何人かと写真を撮ったりサインを書いたりしてからクラブハウスに戻ってシャワーを浴びて帰路に着く
ロッカーの所でもユリアン以外のやつらにからかわれて今日はいつにもまして疲れた気がする


Aさん家にいるかな…
なんか今日は会いたい

未だに連絡先を聞けてないから毎回家に行くときはアポなしになることが多い
本人も引きこもりだとは言ってるけど本当に引きこもりだと思う
だってだいたい居るし(笑)







家の目の前の駐車場に車を止めてAさんの家の方を見ると部屋の窓にシャッターは下りていない

心の中でガッツポーズをしてとりあえず自分の家に荷物を置きに行ってからAさんの家に行くことに決めた





.

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す